2011 Fiscal Year Annual Research Report
深部地下圏を模擬した高圧条件下における生物的メタン生成過程の解明
Project/Area Number |
23244109
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鎌形 洋一 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究部門長 (70356814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 将 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究グループ長 (70357101)
吉岡 秀佳 独立行政法人産業技術総合研究所, 主任研究員, その他部局等 (30415765)
皆川 秀紀 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 主任研究員 (70202348)
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Keywords | メタンハイドレート / 天然ガス / 根源有機物 / メタン生成古細菌 / 共生微生物 / 安定同位対比 / 高圧培養 / 酢酸酸化 |
Research Abstract |
本提案は生物的メタン生成が高圧下で起こりうるか否か、とりわけ(1)メタン生成に必要な水素を供給する微生物と水素からメタンを生成する微生物間で種間水素伝達が高圧下で起こりうるか、(2)根源有機物由来と考えられる中間物質からメタン生成に必要な酢酸を生成する微生物とメタンを生成する微生物との間で酢酸授受が高圧下で起こりうるか、さらには(3)砂岩層や原油等を充填した温度勾配高圧容器を用いて生物的メタン生成を同一容器内で起こす事が可能か、等を検証することによって、海洋ならびに陸地地下圏において今なお起きつつあると推定される生物的メタン生成を実験室的に再現することを試み、天然ガスやメタンハイドレートの成因解明をめざすものである。平成23年度はとりわけ中度高温帯域でメタン生成古細菌の基質となる物質(主に水素)を供給する発酵性微生物とメタン生成古細菌との間で種間物質伝達が高圧下で起こりうるか否かを明らかにした。また原油ならびにあらかじめメタン生成古細菌その他の微生物の存在が確認されている地層水の混合物の培養を試み、メタン生成の有無を測定した。培養はステンレス製高圧培養器を用い、上記培養を常圧、50気圧、100気圧、150気圧で行った。その結果、150気圧においても微生物の生育が認められ、メタン生成を確認することができた。なお150気圧は水深1500メートルに相当する圧力である。これらの結果から、メタン生成古細菌ならびにメタン生成古細菌に水素を供給する微生物が高い圧力耐性を有することを明らかにした。現在圧力変化に伴うメタンの安定同位体比を測定することにより、メタンハイドレートの成因過程との関係を明らかにしようとしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、高圧条件下でのメタン生成古細菌ならびにメタン生成古細菌に水素を供給する微生物の二者培養系が生育できるかどうかがもっとも大きな関門であった。我々はメタンハイドレート研究を行っている研究者とともに本実験を行っており、同研究者がオペレーション可能な高圧培養装置を用いることによってこの問題をクリアすることができたと同時にメタン生成の確認に成功した。これらの観点において研究初年度の滑り出しは概ね順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の基本路線は研究計画に沿って行う予定である。しかし、メタンハイドレートを実験室的に作り出すことを優先するのではなく、微生物の高圧培養によって生成するメタンが実際の海洋下のメタンハイドレートとその安定同位体比が酷似しているかなどの分析化学的な研究に重点をおきつつ、メタンハイドレートの生物的な成因過程を明らかにするところに焦点をより深く当ててゆきたいと考えている。同時に、メタンの嫌気的な消費反応が高圧条件下で起こりうるのかについても解析を行う。メタン生成とメタン消費の合算値が真のメタン生成量であることから、メタン生成とそのバックフラックスを定量することは重要である。この点についても研究を並行して進めてゆきたい。
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Research Products
(2 results)