2014 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡プラズマ物理学のための乱流計測シミュレータ研究
Project/Area Number |
23244113
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
伊藤 公孝 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (50176327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糟谷 直宏 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (20390635)
村上 定義 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40249967)
登田 慎一郎 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (60332186)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プラズマ乱流 / 乱流輸送 / 乱流計測シミュレータ / 動的応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には次のような研究実績を上げた。乱流計測シミュレータの研究では、乱流計測シミュレータの物理解析面での高度化を図った。それを活かし、動的輸送応答実験観測への具体像を提示し論文として発表した。速度空間を捨象した、実空間の乱流の大域的発展を研究し、それに伴う輸送の動的応答を解析した。その結果、勾配―流束関係にヒステリシスがある事は再現出来たが、ヒステリシスの上を動く向きが、実験とは逆である事を確認した。これは、初期的な結果ではあるが、流体モデルでの不十分さを示唆しており、代表者らによって提唱された位相空間乱流効果[Nucl. Fusion 53 (2013) 073035]の重要性を支持している。輸送界面や速度空間構造と乱流輸送の相互作用の研究を進め、輸送障壁の構造に係る定性的なスケーリング則を導いた。先進データ解析法と実験検証では、マイクロ波コムを活用し分布の統計的変動を観測する理論手法を考案した。JFT-2MではL-H遷移が起きる状況での詳細な観測データが存在する。乱流計測シミュレータの考え方から、乱流の塊の間欠的移送が観測出来る事を予測した。広域相関探査法応用によってトカマクでの大域乱流構造を観測し、乱流の塊の間欠的移送機構を実測した。国際的にも中国西南物理学研究所にて揺動解析国際共同作業ワークショップを開催した。これらの成果を論文として投稿した他、国内外で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
乱流計測シミュレータの物理解析面での高度化を図り、実験成果の分析や実験理論の比較の為の分析能力を高めた。その結果輸送の動的応答の理解に大きな進歩を得た。たとえば、速度空間を捨象した流体方程式の乱流シミュレーションにより、勾配―流束関係にヒステリシスがある事は再現出来たが、ヒステリシス上のダイナミクスを追うと実験とは逆である事を確認することができた[N. Kasuya, et al.: Phys. Plasmas 21 (2014) 110701]。流体モデルでは、異なる空間点の間の干渉の効果を取り入れる事が出来るが、向きが逆であるこの結果は、位相空間乱流効果の重要性を示唆している。大きな進展が得られたと言える。輸送障壁の構造に係る定性的なスケーリング則についても、リミターバイアス実験での(トカマクとヘリカル系との)電場強度の差を導く等、従来理解出来なかった課題に説明を与えている。乱流の塊の間欠的移送機構による輸送の応答の研究を進めた。JFT-2Mの実験データを用い、乱流の塊の間欠的移送を示す結果を抽出する事に成功した[T. Kobayashi, et al.: Nucl. Fusion 54 (2014) 073017]。先進データ解析国際共同作業を展開し、国際的共同研究者の論文執筆を指導した[J. Cheng, et al.: Nucl. Fusion 54 (2014) 114004など]。このように大きな成果を得ているので、予想を超えた大きな成果を得たと結論する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の全体計画では、乱流計測シミュレータが、大域的非線形ダイナミクスの本質的な過程を見いだすための研究方法論となる事を実証し、非平衡プラズマの物理に新しい進展をもたらすことを目指している。 平成27年度は最終年度なので、いままでの成果に立脚し、次のように研究を進める。大域的な非平衡ダイナミックスについて、乱流の塊の間欠的移送機構による輸送の応答をまとめる。乱流計測シミュレータによる動的輸送応答実験観測への寄与を取りまとめる。(実験観測を説明出来る部分と不可能な部分を整理して取りまとめる。)輸送界面や速度空間構造と乱流輸送の相互作用の研究を進める。先進データ解析法と実験検証では、乱流の塊の間欠的移送機構の実測を進め、結果を取りまとめる。 これらの成果を5th Asia Pacific Transport Working Group (天津)、Electric Fields, Turbulence and Self-Organisation in Magnetized Plasmas国際会議(Lisbon, Portugal)、Plasma Edge Theory国際会議(奈良)、日本物理学会、プラズマ核融合学会、などで発表するとともに、論文として出版する。
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Research Products
(13 results)