2012 Fiscal Year Annual Research Report
キラル有機化合物の相転移が誘起する特異な化学現象の適用範囲の拡大と一般化
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23245008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 類 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (60207256)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 優先富化現象 / 複雑系光学分割現象 / 磁性ミセル・ゲル / メタルフリー磁性ソフトマテリアル / 磁気液晶効果 / キラル有機ラジカル液晶 / 有機磁性液晶 / 両親媒性ラジカル化合物 |
Research Abstract |
平成24年度も下記の2テーマについて検討し、それぞれについ大きな進展がみられた。 (A)アミノ酸系医薬やカルボン酸系医薬のラセミ体とアキラル有機酸の二成分共結晶が示す優先富化現象:必須アミノ酸のヒスチジンのラセミ体はラセミ化合物に分類され、単純な再結晶による光学分割は不可能と考えられていた。一方、ヒスチジンとフマル酸の1:1共結晶のラセミ体もラセミ化合物に分類されるが、これまでに研究代表者が明らかにしてきた優先富化現象が起こるための5つの必要条件をこの共結晶が満足したため、非平衡条件下で水とエタノールの混合溶媒から再結晶したところ、予想通り効率的な優先富化現象が発現した。こうして、高過飽和度を用いる非平衡結晶化条件下では、ラセミ化合物に分類されるラセミ体がラセミ混晶の如くに振る舞い、その結果、複雑系光学分割現象である優先富化現象を発現することが明らかとなった。 (B) キラル有機ラジカル液晶を起点とするメタルフリーな有機磁性ソフトマテリアル候補化合物の合成と磁性:2種類の新規キラルソフトマテリアルの合成に成功した。第一に、正の誘電異方性を示すキラル有機ニトロキシドラジカル超分子液晶物質の合成に初めて成功し、その磁化率の温度依存性を測定することにより、それが液晶状態で正の磁気液晶効果(J>0)を示すことを見出し、その磁性発現のメカニズムを提唱した。第二に、トリメチルアンモニウム基を親水性基とする新規のキラル両親媒性ニトロキシドラジカル化合物を合成し、これが水中でミセルやエマルションを形成し、特に中性の油性ラジカルを内包したエマルションが磁石に引き寄せられて水中を自由に動くことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画も盛り沢山であったが、テーマAでは、新たに優先富化現象を示すアミノ酸共結晶を発見し、一方テーマBでは、鍵となるラジカル化合物の合成に成功しており、予定通りの進展を見せた。
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Strategy for Future Research Activity |
過去2年間の研究により、平成25年度以降に進むべき方向性と具体性が明確となったので、この方針にしたがって邁進する。
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Research Products
(35 results)