2013 Fiscal Year Annual Research Report
キラル有機化合物の相転移が誘起する特異な化学現象の適用範囲の拡大と一般化
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23245008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 類 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (60207256)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 優先富化現象 / 複雑系光学分割現象 / キラル対称性の破れ / キラル有機磁性液晶 / 磁気液晶効果 / 磁気電気効果 / 有機磁性ヒドロゲル / 強磁性的相互作用 |
Research Abstract |
平成25年度の研究成果を、各テーマ別に述べる。 (A) アミノ酸系医薬やカルボン酸系医薬のラセミ体とアキラル有機酸の二成分共結晶が示す優先富化現象: 1件の発見があった。これまでアミノ酸のアルギニンのラセミ体はラセミ化合物に分類され、単純な再結晶による光学分割は不可能であった。そこで、ラセミ体のアルギニンとアキラル有機ジカルボン酸の共結晶を種々合成し検討したところ、アルギニンとフマル酸の1:1共結晶が、これまでに研究代表者が明らかにしてきた優先富化現象が発現するための5つの必要条件を満足したため、水とエタノールの混合溶媒から、高過飽和度を用いる非平衡結晶化条件下で再結晶したところ、高効率的な優先富化現象が再現性100%で起こることを発見した。 (B) キラル有機ラジカル液晶を起点とするメタルフリーな有機磁性ソフトマテリアル候補化合物の合成と磁性: 2件の発見があった。第一に、高温で強誘電性と正の磁気液晶効果(強磁性的相互作用、J>0)を示すことが明らかとなった、キラル有機ニトロキシドラジカル液晶性化合物を液晶セルに封入し、電子スピン共鳴(EPR)装置のキャビテイーに装着し、電場を印加して、EPRスペクトルの電場依存性を測定したところ、電場の印加により磁化率が増加する磁気電気効果を、磁性液晶物質中で初めて観察することができた。第二に、アミノ酸残基を親水性基とする両親媒性キラルニトロキシドラジカル化合物をゲル化剤として用い、ラジカルヒドロゲルを初めて調製した。EPR測定により、この磁性ヒドロゲルの磁化率の温度依存性を測定し、ゲル状態からゾル状態へ転移する際に約10%の磁化率が増加することを初めて観察した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(19 results)