2011 Fiscal Year Annual Research Report
脱合金によるナノポーラス金属材料触媒。分子変換における革新的手法
Project/Area Number |
23245020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 嘉則 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (60029519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 鉄男 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (80431493)
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Keywords | ナノポーラス金属触媒 / ナノポーラス構造 / 不均一触媒 / 脱合金法 / 芳香環化反応 / Suzukiカップリング / Heck反応 / クリック反応 |
Research Abstract |
本研究は、ナノポーラス金属(ナノ多孔質金属)触媒という革新的な新触媒の創成を目指し、脱合金製作技術を確立し、分子変換反応における革新的な手法を開発することを目的とした。 1.ナノポーラス金(AuNPore)の作製及び「4+2」触媒的芳香環化反応。 Arc Melting方法により均一なAu_<30>Ag_<70>合金の作製を行い、圧延機により40μm程度の厚さの金属箔を作製した。濃硝酸電解液中、Au_<30>Ag_<70>合金を温度と腐食時間を変化しながら、ナノ孔サイズ25nmから100nmまでの様々なAuNPore触媒を作製した。また、SEMとEDX解析により、そのナノ構造と成分を明らかにした。これらのナノ触媒をオルトアルキニルベンズアルデヒドと末端アルキンとの芳香環化反応に用いたところ、孔径30nmより小さいサイズを有するAuNPore触媒が有効であることを明らかにした。 2.ナノポーラスパラジウム(PdNPore)の作製及びSuzukiカップリングとHeck反応への触媒機能。 Pd_<30>Ni_<50>P_<20>金属ガラスを希硫酸電解液中電気化学方法でエッチングを行うことにより、ナノ孔サイズ25nmから100nmを有するPdNPore触媒を効率的に作製した。作製したPdNPore触媒をSuzukiカップリングとHeck反応に用いたところ、反応が短時間で高い収率で進行することを明らかにした。また、高い触媒の再利用性、反応前後のナノポーラス構造は変化が見られないこと、反応溶液へのリッチングがほかのパラジウム固体触媒より少ないことから有機合成上においてグリーンプロセスとして広範に応用できると考える。 3.ナノポーラス銅(CuNPore)触媒の作製及びクリック反応への展開。 Cu_<30>Mn_<70>合金を用いてMnSO_4と(NH_4)_2SO_4電解溶液中脱合金温度を調整することにより、ligamentサイズ20nmから70nmまでの種々のCu NPore触媒の精密作製に成功した。これらの触媒を末端アルキンと有機アジドのクリック反応に用いたところ、室温で作製したligamentサイズ40nmを有するCuNPoreが高い収率で対応する1,4-triazoleを与えることを見出した。これに対して、40nmより小さいサイズ及び大きいサイズを有するCuNPoreでは触媒活性の大きな低下が見られた。また、CuNPore触媒は10回以上の高い再利用性を示し、リッチング実験及びICP-Ms分析から本反応は不均一触媒系であることを明らかにした。さらに、XPS解析及び触媒表面上のナノ構造を有する銅アセチリドの生成から本反応はCuNPore触媒表面のCu(I)触媒種で進行していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ナノポーラス金属(ナノ多孔質金属)触媒という革新的な新触媒の創成を目指し、脱合金製作技術を確立し、分子変換反応における革新的な手法を開発することを目的とした。平成23年度では、当初の研究計画のナノポーラス金触媒と銅触媒の脱合金法の確立及び変換反応への開発を達成したうえ、さらにPd-Ni-P金属ガラスからナノポーラスパラジウムの作製法を開拓し、有機合成上重要なSuzukiカップリングとHeck反応のグリーン触媒系の開発に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、平成23年度の結果に基づき、さらに進化したナノポーラス金属触媒系の作製法の開発と触媒的変換反応への展開を目指す。 1.確立したナノポーラス金属材料触媒の作製方法を用いて、キラルな水晶を含むナノポーラスパラジウムや金などの作製法の開発を行う。作製したキラルな金属触媒を種々の不斉触媒変換反応に展開し、実用性高い不均一かつグリーンな不斉分子変換技術の開発に挑戦する。 2.これまでの単成分ナノポーラス金属触媒から多成分ナノポーラス金属触媒の作製法の開発を検討する。多成分ナノポーラスの金属原子間の電子状態及びポーラス構造の変化により新たな触媒活性および選択性が期待できると考える。
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Research Products
(6 results)