2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ接合ナノ粒子を用いた構造特異エネルギー機能材料の開拓
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23245028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺西 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (50262598)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / ヘテロ接合 / 磁性 / 水分解 / 新エネルギー |
Research Abstract |
本年度はまず、異方性L10-FePd/α-Feナノコンポジット磁石の創製を目的に、容易軸が同一方向に整列したL10-FePd/FeOxの合成を行った。5.0 ± 0.3 nm Pdナノ粒子表面にFe(CO)5の熱分解によってFeOx相を成長させることでPd@FeOxナノ粒子を合成し、さらに逆ミセル法によってPd@FeOxナノ粒子をSiO2被覆することによりPd@FeOx@SiO2ナノ粒子の合成に成功した。次に、合成したナノ粒子を還元熱処理することでL10-FePd/FeOxナノ粒子への結晶構造変態を行い、L10-FePd/FeOx@SiO2ナノ粒子を作製した。還元熱処理後の試料について磁気特性評価を行った結果、還元熱処理によるL10-FePd相への規則化がほとんど進行せず、保磁力が観測されなかった。還元熱処理条件等をさらに検討する必要がある。 次に、可視光水完全分解光触媒として活性の高いオキシナイトライド型固溶体(Ga1-xZnx)(N1-xOx)の水素生成助触媒となるRhナノ粒子の粒径効果に焦点を当てた。RhCl3·xH2O、ポリビニルピロリドン(PVP)、エチレングリコールの混合物を、窒素雰囲気下で1時間還流させると、4.7±0.6 nmの粒子が得られた。より大きなRhナノ粒子は低温長時間反応で、より小さなRhナノ粒子は塩基添加で得られた。粒径制御したPVP保護Rhナノ粒子を、同一Rh仕込み比(1.5 wt%)で光触媒上へ化学吸着させPVP除去後、触媒特性を検討した。その結果、担持したRhナノ粒子の粒径が小さいものほど高活性を与えることが分かった。これは、プロトン還元反応場であるRhの総表面積が、粒径が小さいものほど増大したことに加え、効果的な電荷分離が起きたことが原因と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異方性交換結合ナノコンポジット磁石の創製に向け、材料合成が着実に進んでいる。容易軸が配向しやすい直方体Pdナノ粒子の合成にも着手している。また、水分解ナノ粒子触媒では、水素生成助触媒の構造最適化により徐々にではあるが触媒活性が向上している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策:L10-FePd/α-Fe交換結合ナノコンポジット磁石の保磁力増大のため、粒径が20 nm程度のPdあるいはFePdナノ粒子をシリカ被覆プロセスに用いる。の低下を抑制するための後処理条件を検討する必要ある。また、保磁力の更なる向上のため、直方体Pdナノ粒子の合成も行う。水分解ナノ粒子触媒に関しては、貴金属以外の水素生成金属硫化物ナノ粒子助触媒、および、酸素生成金属酸化物助触媒の新規開拓を行う。さらに、水素生成量を大幅に増加させるため、ZnS-Auヘテロ構造ナノ粒子における可視光誘起電子移動(Au→ZnS)系の光触媒への応用について検討する。
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Research Products
(30 results)