2011 Fiscal Year Annual Research Report
微小管状高分子を基盤とする動的超分子マテリアルの創成と制御
Project/Area Number |
23245031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 十志和 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40179445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 靖人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (10456262)
中園 和子 東京工業大学, 男女共同参画推進センター, 助教 (30467021)
打田 聖 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70343168)
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Keywords | ロタキサン / 分子モーター / 運動性材料 / C_2キラルユニット / ポリロタキサン / らせん高分子 |
Research Abstract |
生体系で普通に見られる、分子を1方向に移動・回転する分子モーターを人工系で可能にすることは、化学における夢である。本研究ではロタキサンをらせん状に集積した微小管状高分子を創成し、ロタキサンの微細な運動ベクトルの効果的な増幅法の確立を目的に研究を行った。その結果、(1)剛直なキラルユニットの2点連結重合を基盤とする微小管状高分子の構築に成功した。特にC_2キラルユニットとしてビナフトールやスピロビフルオレンを平面スペーサーとしてサレン錯体を用いる配位結合型2点重合法に加え、アントラキノンユニットを平面スペーサーとして利用する全共有結合型2点連結重合法も見いだした。また(2)新しいロタキサン素子・スイッチの開発に向けて検討を行った結果、熱応答性型ロタキサンスイッチ((i)トリクロロ酢酸塩含有ロタキサンの脱炭酸駆動型スイッチと(ii)シクロデキストリン型ロタキサンのサイズ相補性末端置換基を利用した熱応答性スイッチシステム)を2点開発した。(i)については、溶液及びバルク中での分解・脱炭酸挙動を精査し、分解に伴い輪成分の位置が変化することを明らかとした。また(ii)については、シクロデキストリンのサイズ相補性置換基を発見し、それを用いる[3]ロタキサンを合成し、ユニークなデスリッピング挙動を明らかとした。そのほか、メカノクロミック材料創成にむけた基本骨格である力場応答性ロタキサン蛍光スイッチを創成し、その特性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた(1)剛直なキラルユニットの2点連結重合を基盤とする微小管高分子の構築と(2)ロタキサン素子の構築と複合化の検討の2点について、順調な成果を挙げているため。尚、前者については、サレン錯体をスペーサーとする方法に加え、全共有結合型2点連結重合法も見いだしている。また後者については、新しい熱応答性ロタキサンスイッチを2点開発したことや、メカノクロミック材料の基本骨格である力場応答性ロタキサン蛍光スイッチを創成し特性評価を行った点が本年度の主な研究成果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本年度の研究成果を基にして、(1)分子モーターの創成及びその特性評価を行う。特にロタキサン素子の運動方向を増幅するような高分子設計により遂行する。合成後、モノマーのスイッチ挙動と巨視的な運動現象との相関を各種測定により精査する。またこの検討と並行して、(2)スイッチ可能な微小管状高分子の内孔の応用と制御に関する研究も行う。周囲を不斉場で囲まれたナノ空間である微小管状高分子の内孔は非常に魅力的な空間場である。スイッチによって、内孔の形状を著しく変化させることで、刺激応答性の場を創成し、その応用展開について検討する。
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Research Products
(25 results)