2012 Fiscal Year Annual Research Report
微小管状高分子を基盤とする動的超分子マテリアルの創成と制御
Project/Area Number |
23245031
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 十志和 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40179445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 靖人 北海道大学, 触媒化学研究センター, 准教授 (10456262)
中薗 和子 東京工業大学, 男女共同参画推進センター, 助教 (30467021)
打田 聖 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70343168)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ロタキサン / 分子モーター / 運動性材料 / C2キラルユニット / ポリロタキサン / らせん高分子 |
Research Abstract |
生体系で普通に見られる、分子を1方向に移動・回転する分子モーターを人工系で可能にすることは、化学における夢である。本研究ではロタキサンをらせん状に集積した微小管状高分子を創成し、ロタキサンの微細な運動ベクトルの効果的な増幅法の確立を目的に研究を行った。その結果、 ①剛直なキラルユニットの2点連結重合を基盤とする微小管状高分子の構築に成功した。C2キラルユニットとしてスピロビフルオレンを使用し、平面スペーサーとしてアントラキノン誘導体を用いた全共有結合型2点連結重合法を見いだした。また、スイッチ可能な平面スペーサーとしてビチオフェン構造を導入し、その酸化・還元に伴う2点連結-1点連結のスイッチを達成し、フォルダマーとしての機能を見いだした。 ②新しいロタキサン素子・スイッチの開発に向けて検討を行い、熱応答性型ロタキサンスイッチを2つの視点から開発した。 まず1つ目は化学的な熱応答性スイッチとしてトリクロロ酢酸塩含有ロタキサンの脱炭酸駆動型スイッチを確立した。これはトリクロロ酢酸塩の脱炭酸反応によりロタキサンが中和されるメカニズムで、中和に伴いロタキサンの輪成分が解放される系となった。 もう1つは熱力学的な熱応答性スイッチで、シクロデキストリン型ロタキサンのサイズ相補性末端置換基を利用した熱応答性スイッチである。これはシクロデキストリンの内孔と同程度の嵩高さをもつ末端基を利用する方法で、末端基の構造のわずかな違いによりそのデスリッピング挙動が変化することを見いだした。このサイズ相補性ロタキサンの概念はシクロデキストリンだけでなくクラウンエーテル系でも適用が可能であるため、構造の明確なサイズ相補性ロタキサン架橋剤の合成およびその架橋体の熱応答性スイッチによる分解性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた①剛直なキラルユニットの2点連結重合を基盤とする微小管高分子の構築と②ロタキサン素子の構築と複合化の検討の2点について、順調な成果を挙げているため。 ①については、昨年度のサレン錯体をスペーサーとする方法から今年度はアントラキノン誘導体を用いた剛直で安定な全共有結合型2点連結重合法も見いだした。またビチオフェン構造を用いることで酸化・還元に伴うスイッチ機能の導入にも成功した。 また②については、新しい熱応答性ロタキサンスイッチを化学的な手法と熱力学的な手法の2点より開発した。化学的手法(脱炭酸スイッチ)は液晶場へと展開することで、ロタキサン素子の熱応答性が液晶場へどのような影響を与えるかを現在精査している。もう1つの熱力学的手法(サイズ相補性ロタキサン)については、その概念を利用した分解可能な架橋体の合成へと応用している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本年度の研究成果を基にして、①剛直なキラルユニットの2点連結法を基盤とする微小管高分子に新たなスイッチ機能の導入を検討する。また、②ロタキサン素子の構築と複合化の検討をさらに進め、本年度の熱応答性スイッチから光応答性スイッチの可能性を検討する。具体的には、 ①2点連結法による微小管状高分子の機能化を進展させるため、本年度の酸化・還元スイッチからチオインジゴ骨格の導入による光スイッチの系を検討する。チオインジゴの光異性化に伴う反転により、剛直ならせん状とジグザグな平面状構造とを選択的に形成させ、周囲を不斉場で囲まれたナノ空間である微小管状高分子の内孔への選択的な包接挙動を制御する。 ②熱応答性ロタキサンスイッチの応用として、化学的なスイッチは液晶場への検討をこれまで進めてきたが、さらに液晶エラストマーへも展開し、アクチュエーターとしての機能を検討する。また、熱力学的なロタキサン素子についてはカテナンや高分子鎖へ導入することで、一方向のみ移動する分子モーターへの応用を検討する。
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Research Products
(21 results)
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[Patent(Industrial Property Rights)] フッ素ニトリルオキシド化合物2013
Inventor(s)
神原將,野口剛,毛利晴彦,高田十志和,小山靖人,打田聖,王晨綱
Industrial Property Rights Holder
神原將,野口剛,毛利晴彦,高田十志和,小山靖人,打田聖,王晨綱
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
特願2013-045759
Filing Date
2013-03-07
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[Patent(Industrial Property Rights)] ジナフトチオフェン化合物並びにジナフトチオフェン骨格を含む重合体及びその製造方法2013
Inventor(s)
高田十志和,南部洋子,立花聡志,本田順也,岡田康佑,駿河寿秀
Industrial Property Rights Holder
高田十志和,南部洋子,立花聡志,本田順也,岡田康佑,駿河寿秀
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
特願2013-042042
Filing Date
2013-03-04