2011 Fiscal Year Annual Research Report
精緻設計ナノ共役分子ワイヤの創製に基づく分子デバイス開発
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23245032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安蘇 芳雄 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60151065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家 裕隆 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (80362622)
辛川 誠 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (80452457)
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Keywords | 分子素子 / 共役オリゴマー / オリゴチオフェン / 被覆分子ワイヤ / 導電性計測 / 分子エレクトロニクス / 電極アンカー |
Research Abstract |
これまでの研究を踏まえた本格的な分子デバイス構築に向けて、本年度は以下の研究を遂行した。 1.アンカー導入絶縁被覆分子ワイヤの開発と導電特性計測 これまでの研究から、分子デバイスに向けた分子ワイヤの導電性計測においては、被覆導線化が必須であることが分かっている。クロペンタ[c]チオフェンの平面の上下にt-butyldiphenylsilylを配置して共役鎖を覆った被覆型オリゴチオフェンでは、嵩高い置換基を導入したが故に金属電極との接合のためのアンカー部を末端に導入することができていなかった。そこで、新たな被覆部位として、平面的なフルオレン骨格を選択して6量体までのチオフェンオリゴマーの合成を達成し、両末端にチオール(-SH)およびエチニル(-C≡C-H)アンカーの導入にも成功した。チオール体を用いて、研究協力者の夛田と共同研究でSTMブレークジャンクションによる被覆分子ワイヤの導電特性計測を遂行し欠陥の無いオリゴチオフェン単分子ワイヤの距離依存減衰因子をはじめて明らかにした。 2.電子注入と電子輸送に適したアンカー導入被覆分子ワイヤの探索 分子光電変換、および、分子熱電変換においては電子伝導性(n型)の分子ワイヤが必須となる。チオフェン環に隣接した電子求引カルボニル基と被覆基を同時に取り入れた分子ワイヤの合成を達成し、n型としての基礎物性を明らかにした。また、アンカー官能基の導入にも成功し、導電特性計測を計画している。さらに、単分子光電変換のための分子やキャリア注入に適した電極との「π接合」アンカーをの探索を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、被覆分子ワイヤの合成とアンカー導入、導電性計測に成功している。また、各種のπ電子系を電極接合部とする三脚型アンカーにおいて金電極との接合を確認しており、「π接合」を活用した分子エレクトロニクスの構築実現に期待が持てる。以上から、研究の目的の達成に向けて、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を踏まえて本格的な分子デバイスへと発展させるために、今後も、絶縁被覆型分子ワイヤと三脚型アンカーを基本骨格として、精緻な分子設計による物性の制御によって電子注入およびスピン注入や整流、光電変換、熱電変換に適した単一分子系の合成を行い、分子デバイス構築と単分子機能の実証を目指す。既に、単分子デバイスにおける被覆分子ワイヤおよび三脚型アンカーの有用性が明らかになりつつあるので、特段の研究計画の変更も問題点も無い。
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Research Products
(10 results)