2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23245036
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松本 泰道 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80114172)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2014-03-31
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Keywords | 光触媒 / 鉄複合酸化物 / 可視光応答 / 水光分解 / p/n接合 / 酸化グラフェン / 二酸化チタン |
Research Abstract |
鉄の3価と2価の金属イオンを適量混合し、ドデシル硫酸イオン(DS-)を混合することにより、DSの鉄層状酸化物を得ることに成功した。これらは、数nmサイズの超微粒子がDS体で挟まれた異常な状態として存在している。これをTBAで剥離すると、超微粒子の酸化鉄を得ることができる。鉄が2価や3価で存在するとマグネタイトになり、磁性粒子として作動する。これらを光触媒として作動させると微弱な光触媒活性を示した。類似の方法で、酸化チタンナノシートを作製することにも成功した。この場合、TEM観察によると酸化チタンはK2TiO4として存在していることが判明した。ナノシートのサイズは5nm程度の広さを持つため、量子サイズ効果を有している。このため、光触媒活性は生じるがバンドギャップが大きいため可視応答は小さい。今後は、これらのp型光触媒とn型光触媒が接触する界面を作る方法の確立が重要である。一方、酸化グラフェンと酸化金属ナノシートに関する研究においては、まず酸化グラフェンの層間に容易に金属イオンがしみ込んでいく現象を明らかにした。金属イオンの層間での量を増やすことにより、層間に金属酸化物ナノシートを作製することが容易になると思われる。実際には、金属は金属そのままでも層間を移動している現象も得られている。これを還元する事により、金属ナノシートの形成も可能になり、光触媒活性の新しい分野を切り開くことも可能になろう。今後は、層間に様々な複合酸化物や金属などのナノシートを作り、触媒活性の高い光触媒特性を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な鉄複合酸化物ナノシートの合成を検討し、ナノシートやナノシート含有層状体などを得た点は順調であるが、未だ高い効率の光触媒が得られていない点については今後あらゆる手段を使ってこれを成功するつもりでいる。以上の観点から(2)と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄複合酸化物のp/n接合光触媒が本来の目的であり、様々なp型、n型光触媒のナノシートの合成には成功している。これらを接触させる手法の開発や酸化グラフェンを媒介とする接触が考えられる。後者の場合、酸化グラフェンの層間に金属イオンを存在させることには成功しているので、今後はこれから層間にナノシートを作る技術開発が必要である。
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