2011 Fiscal Year Annual Research Report
シロキサン系ビルディングユニットからのコロイドの精密合成
Project/Area Number |
23245044
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒田 一幸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90130872)
|
Keywords | シリカ系化合物 / コロイド / ビルディングユニット |
Research Abstract |
シリカ系ナノコロイドは一般的にゾルゲル法で合成されるが、10nm以下のサイズの粒子を分散したまま合成すること、およびその表面修飾をすることは難しい。この課題に対して、我々はシリケートデンドリマーを合成することにより解決を試みた。カゴ型シリケートオリゴマー([Si8020]8-)の8個の頂点を2回シリル化することでsi原子が最大40個からなる直径が約1.5nmのシリケートデンドリマー(DMS-1)を合成した。デンドリマーの表面には24個のSi-H基を導入可能である。Si-H基の存在によりi)ヒドロシリル化反応を利用した様々な有機種の修飾、ii)空気雰囲気での加熱によるSi-H基の酸化および縮合を用いたDMS-1間の連結、iii)加熱処理時のセラミック収率の向上が可能となった。このデンドリマーは一般的な有機溶媒に可溶であり、表面修飾可能な最小級シリカナノ粒子とも言える。本報告で得られたデンドリマーは表面に反応活性な官能基(Si-H>が存在しているため、これらをさらにビルディングユニットとしてコロイド粒子の精密合成が期待できる。 また[Si8020]8-の8個の頂点をジフェニルエトキシシリル化し、その後各頂点に存在するエトキシ基を加水分解することで、一つの分子中に多数のシラノール基が安定に存在するカゴ型シリケートオリゴマーを合成した。通常シラノール基は反応性が高く別のシラノール基と反応しシロキサン結合を形成しでしまうため、このように多数のシラノール基を有するオリゴマーを安定化させることは非常に意義深い。多数のシラノールを有するこのオリゴマーは、多くのシリル化反応に用いることができると予測され、シリカ系ナノコロイドのビルディングユニットとして有用である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
オリゴマー界面を精密に設計し、界面に官能基が均一に存在するビルディングユニットの合成を達成しており、その成果が認められ、Chem.Euro.J.に掲載論文はVRPおよびFrontispieceとして採択された。またNew J.Chem.の掲載論文はCover pictureに採択された。以上の結果は逆合成解析と精密合成についての格段の進捗を示すものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
先年度得られた分子合成・コロイド設計に関する知見を基に、広範なビルディングユニットの合成、およびそれを基にしたコロイドの精密合成を行う。具体的なビルディングユニットとしては、加水分解を経ることで両親媒化するオルガノシロキサンオリゴマー・ポリマーを取り扱う。このような分子群は界面活性剤のミセル形成能に類似した自己集合能を持つため、自己組織化によるコロイドの簡便な合成、有機部の操作によるコロイドの界面設計、パッキングパラメータ操作による粒子形状操作等を総合的に行う。
|
Research Products
(6 results)