2012 Fiscal Year Annual Research Report
シロキサン系ビルディングユニットからのコロイドの精密合成
Project/Area Number |
23245044
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒田 一幸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90130872)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 無機逆合成 / シリカ系化合物 / コロイド / ビルイディングブロック / 界面設計 |
Research Abstract |
構造が厳密に制御されたシリカ系ナノコロイドは、それ自体が高次集積体のビルディングユニットとなりうる。本年度はシリカ系ナノコロイドの精密合成を行うとともに、これらをビルディングユニットとした高次集積体合成を行った。 ナノコロイド合成においては、アルコキシシランを前駆体にした水中分散可能なメソポーラスシリカナノコロイドの構造、および骨格の制御を行った。前者においては、コロイド作製時における疎水的有機化合物の添加により、シリカナノコロイドの粒径および細孔径の拡大が達成された。後者においては、有機アルコキシシラン単独を骨格源として用いることで、有機基がシリカ壁中に均一に分散したナノコロイドが得られた。コロイドにおける制御された粒径や細孔径、均一分布した有機基の存在は、触媒や吸着といったコロイドの機能に直接作用するものであり、その達成はコロイドの応用の上で非常に有用である。 ナノコロイドによる高次集積体合成においては、シリカナノコロイドと他のナノマテリアルの複合化、およびコロイド結晶を鋳型に用いた金属酸化物ネットワーク形成を行った。前者では、層状複水酸化物ナノシートとシリカナノコロイドを溶液中で混合することで多孔性ナノコンポジットが得られた。後者では、様々な粒径のシリカナノコロイドにより形成されるコロイド結晶の細孔内部における金属酸化物の析出、およびその後のシリカ除去により、コロイド結晶の構造が反映された多孔質金属酸化物ネットワークが達成された。層状複水酸化物や金属酸化物はその金属組成により様々な機能を有し、またその多孔質化はこれら化合物の機能性を相対的に高めることも可能である。本系においてはシリカナノコロイドを用いることで多孔質構造を達成し、ビルディングユニットとしてのナノコロイドの有用性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでシリカ系ナノコロイドの構造・骨格制御を行うとともに、精密制御されたシリカナノコロイドをビルディングユニットとしたアプローチによりその有用性を示すことができた。これらナノコロイドは本研究のシロキサン系ビルディングユニットを用いた無機逆合成における目的化合物となるものであり、2012年度に得られた知見は、これまで合成されたシロキサンオリゴマー・ポリマーを出発物質としたコロイド合成において非常に価値の高いものである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで蓄積したシロキサン系ビルディングユニット(オリゴマー・ポリマー)の合成、コロイド設計、およびコロイドによる高次構造制御に関する知見を活かし、最終年度としてコロイド無機逆合成の方法論を確立する。先年度までに引き続き、コロイドの合成は両親媒性オルガノシロキサンオリゴマー・ポリマーの自己集合によって試みる。また合成されたコロイドの有機基を種々の反応により多様に変化させることで、コロイド界面の精密制御を試みる。さらに触媒、光学特性などのコロイドの物性評価を行い、これら物性とコロイドの構造・界面状態との相関を評価する。
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Research Products
(6 results)