2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高速固体NMRプローブと超高磁場NMRによる繊維・高分子の分子間構造解析
Project/Area Number |
23245045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
朝倉 哲郎 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30139208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 禎 独立行政法人物質・材料研究機構, 強磁場NMRグループ, グループリーダー (00354366)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 固体NMR / 絹 |
Research Abstract |
超高磁場と世界最速のマイクロプローブを組み合わせた実験によって、これまで適当な構造解析手段がなかった繊維・高分子材料の分子間固体構造を、新たに解明できる1H固体NMR構造解析法を開発できる。 昨年度、予定していた、つくば強磁場共用センターの930MHz超高磁場固体NMR装置ならびに本学の400MHz固体NMR装置は、3月の大震災でクエンチしてしまった。本学のNMR装置は、ただちに復旧させたが、930MHzNMR装置の回復は、平成24年度以降になってしまった。 そこで、急遽、岡崎の分子研にお願いして、920MHz超高磁場NMR装置をお借りし、超高速固体NMRマイクロプロープを設置した。順調に設置することができ、本研究を開始した。 1.絹結晶部のモデル化合物の(Ala)3と(Ala)4を合成、溶媒処理を変えることによって、100%平行ならびに逆平行βシート構造を作成、400MHz1H固体NMRスペクトルで確認した。 2.920MHz超高磁場装置と超高速(70KHz)マイクロプロープの組み合わせにより、400MHz1H固体NMRの場合と比較して、これらの1H固体NMRスペクトルの分解能が格段に向上することを確認した。 3.これらの化合物について、1H固体NMR実測化学シフトを精度高く得ることができた。また、その帰属を実験的に確実に行うための解析手法の確立を目指し、DQ/SQ等の固体NMRパルスの導入を図った。 4.また、分子間構造の違いを実験的に評価するための1Hスピン拡散NMRデータの取得を行い、1Hスピン拡散NMRデータから分子間構造を議論するためのプログラムを作成した。 5.一方、分子間構造の違いを考慮して(Ala)3ならびに(Ala)4の1H固体NMR化学シフトを理論的に精度高く計算し、帰属と分子間構造を精密に議論するためのCASTEP等のプログラム計算を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3月の大震災のため、930MHzNMR装置はクエンチし、その回復は平成24年度以降になってしまったが、急遽、岡崎の分子研にお願いして920NHz超高磁場NMR装置をお借りし、本研究を開始することができた。このようなアクシデントがあったにもかかわらず、集中して実験と理論的研究を進めた結果、当初の実験計画を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度も引き続き、岡崎の分子研で超高磁場NMR装置を用いて本研究を推進する。本年度から2年間、朝倉は分子研の客員教授となったので、分子研の装置の使用は、格段にし易い状況となった。実験データの取得とともに、青木博士を中心とする分子間構造解明のための1Hスピン拡散NMRならびに化学シフト計算用プログラムの作成は、順調である。
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Research Products
(38 results)