2011 Fiscal Year Annual Research Report
完全格子整合2重トンネル接合におけるスピン依存共鳴トンネル効果と新機能創成
Project/Area Number |
23246006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
三谷 誠司 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料ユニット, グループリーダー (20250813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 伸哉 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料ユニット, 主任研究員 (20378855)
介川 裕章 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料ユニット, 研究員 (30462518)
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Keywords | 格子整合 / 2重トンネル接合 / 格子整合 / 共鳴トンネル効果 / スピントロニクス素子 |
Research Abstract |
強磁性2重トンネル接合におけるスピン依存共鳴トンネル効果は、新規高集積度磁気メモリのためのダイオード特性と巨大な磁気抵抗効果を兼ね備えることに加え、共鳴状態におけるスピン注入などの未開拓の物理現象・機能特性の研究を可能にする。しかし、これまで強磁性金属を用いた高品位2重トンネル接合の作製の報告はほとんどなく、理論予測や素子応用上の期待に反して、スピン依存共鳴トンネル効果の実験研究は進展していない。 本研究は、この状況にブレークスルーをもたらすために、格子ミスマッチがほとんどないスピネルバリアとホイスラー合金電極を利用することにより、平坦性と結晶性において格段に優れる2重トンネル接合を作製し、その特性評価と機能発現機構の解明を行う。本年度はCo2FeAlホイスラー合金を用いた高品位トンネル接合を作製し、 Co2FeAlの成長と機能発現に関する種々の成果を得た。スピネルバリアの成長に関しても結晶化と成長プロセスの相関の大部分を明らかにし、今後の一層の高品位化に一定の道筋をつけた。特にプラズマ酸化と加熱処理の組合せの有効性を見いだしたことは新規性が高い。スピン共鳴トンネル効果に関しては、データの解析・検討により、コヒーレントトンネル状態の実現が明瞭な共鳴トンネルの実現に不可欠であることを知見した。いわゆるデルタ1対称性を有するS電子的な電子状態のみによる伝導を実現しなければ、バリア界面での散乱によって「波数を保存して干渉させる」という条件が損なわれるためである。基礎的に重要な成果であり、今後の研究遂行において常に念頭に置くべき内容である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に主要項目として挙げた、Co2FeAlホイスラー合金を用いた実験、および、共鳴トンネル効果に関する検討を実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
試料の高品位化、具体的には欠陥密度の制御が非常に重要であることを実感しており、ポストアニール温度の最適化などを通じてこの点に特に注力する。
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