2011 Fiscal Year Annual Research Report
高代謝速度大型臓器再構築用3次元担体の粉末焼結積層造形に関する研究
Project/Area Number |
23246027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新野 俊樹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70291929)
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Keywords | 付加製造 / レーザー焼結 / 組織工学 / 担体 |
Research Abstract |
細胞密度の向上に不可欠である担体流路の微細化を阻んでいる原因のひとつが,使用しているレーザーのビーム径が大きいことにある.樹脂のレーザー焼結に用いられる光源の多くは炭酸ガスレーザであるが,このレーザーは樹脂による吸収が良い一方で,波長が長くビームスポットの微細化が難しい.ビーム径の微細化が可能なファイバレーザ(波長1µm)を用いた粉末焼結積層造形装置の仕様を策定し露光装置部を開発し,ビーム径を100µm以下に小さな値にした. 本課題で採用している付加製造技術は,熱可塑性の粉体を薄い層に敷き,レーザーを選択的に照射することによって溶融固化すると同時に下層の構造物と溶接するというプロセスを繰り返すことによって,3次元形状を作製する.通常のプロセスでは,造形中に造形物が反ってしまうことを防止するために,造形床全体を粉末の融点直下まで加熱している.このため,レーザーを照射した部分としていない分の温度勾配が小さく,レーザー照射を行っていない部分でも余剰な焼結がおこり,微細性が低下する.そこで造形物を強固なベースプレートに固定することで.造形床温度をほぼ常温に保ったまま造形する無余熱造形法を提案した.無予熱造形により,余剰焼結量は50%以下に低減された. 本課題では,PCLを担体材料として選定していたが,PCLは疎水性の強い材料であり,細胞の接着性を上げるために,親水性の向上が課題になっていた.一方,PCLよりも親水性の高い材料としてPGAやその乳酸との共重合体であるPLGAが知られていたが,これらの樹脂は,予熱することで粉末の流動性が低下して,造形に用いることができなかった.本研究では,無予熱造形を利用することで,PGAの造形ができることと単純化した担体で培養が可能であることを確認した.さらにその単体を用いてヒト肝癌由来細胞と血管内皮細胞の混合培養も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
装置の開発については,ビームの微細化を予定通り完了しており,計画通り進んでいる.また,新プロセスを開発し,ビーム径の縮小に加えてさらに高い可能性を示すことができ,微細化に関して言えば予定していた以上の成果が得られている.担体の親水化については,当初様々な親水化を提案したが,これまでのプロセスでは造形できなかった親水性の高い材料を造形できるプロセスを開発することで,親水化の必要性そのものを無くし,その効果は培養によっても確認しており,計画通り進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
計画は順調に進展しており,新しいプロセスによりさらなる性能の向上も期待できる.今後は,当初の計画を実行すると同時に,新しいプロセスの効果を利用し,新しい知見の創出に勤める.
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