2012 Fiscal Year Annual Research Report
高代謝速度大型臓器再構築用3次元担体の粉末焼結積層造形に関する研究
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23246027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新野 俊樹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70291929)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アディティブマニュファクチャリング / 組織工学 / 担体 |
Research Abstract |
昨年度は,造形装置の一部を開発,担体の後処理プロセスを選択,また培養の基礎実験を行うこととなっていた.本年度は,その成果を利用し,以下のような項目に分けて研究を発展させることを目指した. (1) 前年度に開発した露光装置部を搭載する造形チャンバ部を開発し実際に可動することを確認した.担体の微細性の向上が目標の一つであったが,前年度および当該年度途中で開発された低温予熱造形を利用することで,微細性が格段に向上することが分かったためこれを利用することとした.また,微細性の向上には材料の熱的な特性,特に温度伝導度(温度の伝わりやすさの指標で,熱伝導率を比熱で除したもの)の影響が大きいことが知見として得られており,本年度はこの特性を利用して,流路の微細化を行うこととした.より具体的には,これまで空孔率を向上するために利用していた食塩フィラーを,より熱伝導特性の低く,アルカリ水溶液に可溶なポリグリコール酸に置き換えて,混合粉末の熱伝導率を下げることとした.このことにより,造形可能な穴径は約50%まで低減され,平板にあけた最小値で約140μmまで小さくすることが可能になった. (2) 親水化処理の特性を評価し,単体表面の濡れ性の向上についての考察も行った.従来,十分な細胞活着率を得るためには,アルコール等を用いて単体の親水性を上昇した後にカップリング処理を行っていた.一方,これまでの研究でアルカリ水溶液の処理が有意な親水性の向上をもたらすことが 分かっており,前述のフィラーの溶出処理の際に同時に親水化処理が行われることが確認され,これにより予備実験によりカップリング処理を行わなくても20%程度の活着率が得られた. (3) 粉末の微細化の試験については,上記の低温造形による効果が代であることから今年度は行わなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の大きな目標のひとつは,担体の微細性の向上であり,これについては予定通り進んでいる.また,細胞の付着性についても,当初の予定通り進んでいる.一方,粉末粒の微細化による担体の微細性向上に関する調査については,他の方法により目標が達成できそうな目途が立ってきたため,行わなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,担体流路の微細化と細胞の十分な活着率の確保が行えた.今後は,粉末の微細化による,担体流路のさらなる微細化を試みるとともに,混培養もしくは多段階培養による,血管被覆を試み,抗血栓性の評価をおこなう.
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