2011 Fiscal Year Annual Research Report
全方位ナノ修正加工を実現する空間光場姿勢制御フォトン励起型マイクロ加工工具の開発
Project/Area Number |
23246028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 哲 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高増 潔 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70154896)
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Keywords | 精密微細加工 / マイクロマシン / マイクロ・ナノデバイス |
Research Abstract |
ナノ生産工学においてその重要度が高まっているレジスト,高分子,バイオ素材等のソフトマテリアルを加工対象として,50nm以下の空間加工分解能でナノ修正加工が可能な新しい概念の光触媒ナノ粒子工具チップ・マイクロ加工工具の開発およびその有効性の検証を目的とする.本年度の具体的な研究実績を羅列すると以下のようになる. (1)マイクロ粒子挙動解析用放射圧数値解析 屈折率が2.5以上と非常に大きい値を有する酸化チタンナノ・マイクロ粒子を対象とした放射圧制御特性の解析を行った.その結果,一方向から集光レーザーを照射するTweezers trapにおいては,散乱力の影響で,粒子径が大きくなると三次元的な捕捉は困難であり,平面的な加工に特化して利用が可能であることが分かった.一方,対向する形態で二方向から集光レーザーを照射するCounter propagating trapにおいては,対向入射光の干渉効果により,散乱力が大きくなっても均衡点が存在することを確認した.これより粒子径によらず,三次元的な捕捉が可能であり,マイクロ立体構造の修正加工ツールとしての可能性を有することが分かった. (2)放射圧解析基礎実験装置の設計他 理論解析結果の妥当性および提案研究概念の基礎的検証を目的として,放射圧解析基礎実験装置の開発を行った.放射圧コントロール下にあるマイクロ粒子のその場拡大顕微観察が可能な仕様を基本にして,次年度以降の偏光子等の様々な解析用光学素子を柔軟に追加可能な機能拡張型無限遠補正型顕微システム,および詳細動的観察評価を実現する動画記録装置を備えた構成とした.その他,次年度以降のナノ加工検証基礎実験において,ナノ除去加工を定量的に検証するための平坦面マイクロ光硬化性樹脂サンプルの作成方法を実験的に検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)マイクロ粒子挙動解析用放射圧数値解析により,本提案概念を実現する上で不可欠な酸化チタンナノ・マイクロ粒子の三次元捕捉が可能な条件を見いだすことができたこと.具体的には,屈折率が2.5以上と非常に大きい値を有する酸化チタンナノ・マイクロ粒子を対象とした放射圧制御特性の解析を行ったその結果,対向する形態で二方向から集光レーザーを照射するCounter propagating trapにおいては,対向入射光の干渉効果により,散乱力が大きくなっても均衡点が存在することを確認した.これより粒子径によらず,三次元的な捕捉が可能であり,マイクロ立体構造の修正加工ツールとしての可能性を有することが分かった. (2)放射圧解析基礎実験装置の設計他 理論解析結果の妥当性および提案研究概念の基礎的検証を目的として,放射圧解析基礎実験装置の開発を行った.放射圧コントロール下にあるマイクロ粒子のその場拡大顕微観察が可能な仕様を基本にして,次年度以降の偏光子等の様々な解析用光学素子を柔軟に追加可能な無限遠補正型顕微システム,および詳細動的観察評価を実現する動画記録装置を備えた構成とした.その他,次年度以降のナノ加工検証実験において,ナノ除去加工を定量的に検証するための平坦面マイクロ光硬化性樹脂サンプルの作成方法を実験的に検討し,有効な平坦面創製方法の目途を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
1)酸化チタン光触媒マイクロ粒子を用いた基本コンセプト検証加工実験(高橋哲担当) 提案している光触媒ナノ粒子を先端チップとする新しい概念のフォトン励起型マイクロ加工工具を実現するために,ここでは,380nm以下の波長域に対して強い活性を有する酸化チタンを適用し,提案手法基本コンセプトを実験的に検証することを目的とする.具体的には,最も重要な基本概念の検証に焦点をしぼり,比較的大きな粒径の数100マイクロメートルサイズの酸化チタン光触媒マイクロ粒子を対象として,その深度方向微細加工能について実験を試みる. 2)マイクロ光造形用樹脂へのナノ加工痕の解析(高増潔担当) 本研究の最終ターゲットの一つであるマイクロ光造形体の微細修正加工機能の可能性検証も兼ねて,マイクロ光造形用光感応性樹脂に対しての加工実験および,その加工痕評価を通じて,提案工具チップ加工特性の解析を試みる.具体的には,KC1162(アクリレート系モノマー),KC1042(ウレタンアクリレート系オリゴマー)等の光感応性樹脂を,高精度な平坦面を創製可能なエバネッセント露光型光造形法で,サンプル平坦面を作成し,その平坦面に対して加工実験を行うことで,加工量のナノスケールでの定量的な評価を試みる.
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Research Products
(9 results)