2013 Fiscal Year Annual Research Report
熱流動非線形ラマン散乱イメージング法構築による異相界面分子吸着現象の非侵襲解明
Project/Area Number |
23246037
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 洋平 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00344127)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 非線形ラマン散乱 / 熱流動非侵襲センシング / 自発ラマン散乱 / CARS / ラマンイメージング / ラマンイメージング / 校正曲線 / エバネッセント波 |
Research Abstract |
熱流動異相界面における分子吸着や反応・分離を支配するイオン層電位形成メカニズムの解明を目的とした,非線形ラマン散乱イメージング法の開発を,4ヶ年に渡り行う。本年度の研究成果を下記に述べる. ①二波長ラマンイメージングによる電解質溶液の速度・温度分布非侵襲センシング法の開発:マイクロチャネル内に非定常温度場を形成し,入射レーザ光強度,EM-CCDカメラの露光時間,フレームレートおよび感度特性,速度,そして非定常温度場の温度差との関係を定量的に把握し,速度・温度分布非侵襲センシング法の最適化を行った. ②エバネッセント波照射自発ラマンイメージング法による固液界面極近傍の濃度分布非侵襲センシング法の開発:マイクロチャネル内に水・重水から成る混合場を形成し,励起光としてエバネッセント波を用いることにより,固体・液体界面極近傍の水・重水濃度分布の非侵襲センシング法の開発を行った.水と重水では,ピーク波長を有するラマンシフトが著しく異なるため,EM-CCDカメラにそれぞれのラマンシフトに合致したフィルタを装着することにより,ラマン散乱光強度と,水と重水の混合比との相関関係である校正曲線の取得を行った.この校正曲線をEM-CCDカメラにて取得した画像に適用することにより,水と重水の濃度分布の非侵襲イメージングに成功した. ③非線形ラマン散乱を用いた電解質溶液中多種イオン群濃度非侵襲センシング法の開発:チャネル内イオン群からのラマン散乱光を増大したCARS光による,イオン群濃度変化に応じたCARS光強度変化を定量的に示す校正曲線の取得し,2種のイオン群からなる混合場の濃度分布非侵襲センシング法の開発を行った.励起光の揺らぎ等の散乱光強度への影響を除去するため,顕微鏡およびEM-CCDカメラから構成されるシステムを2セット構築し,参照散乱光強度との相対強度を求める画期的なシステムの開発に成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自発ラマン散乱およびコヒーレント・アンチストークスラマン散乱の特徴に特化したセンシング法として下記の3システムの提案を行い,完全非侵襲熱流動センシングに成功し,異相界面における熱流動現象の解明の進捗状況は概ね良好である. ①二波長ラマンイメージングによるチャネル流速度・温度非侵襲同時センシング法の開発:温度場非定常現象の解明が可能となった. ②エバネッセント波照射自発ラマンイメージング法による固液界面極近傍の濃度分布非侵襲センシング法の開発:固体・液体界面極近傍に存在する分子挙動とラマン散乱光強度との相関関係が明らかとし,濃度分布の非侵襲センシングが可能となった. ③非線形ラマン散乱を用いた電解質溶液中多種イオン群濃度非侵襲センシング法の開発:バルクイオン群濃度とラマン散乱光強度との相関関係が明らかとなり熱流動界面への適用が可能となった.
|
Strategy for Future Research Activity |
熱流動異相界面における分子吸着や反応・分離を支配するイオン層電位形成メカニズムの解明を目指して,固体・液体および液体・液体界面へのエバネッセント波照射による自発ラマン散乱および非線形ラマン散乱に基づくラマンイメージング法の開発を行う.異相界面におけるイオン群挙動を支配する多変量時空間分布の非侵襲センシングを実現し,マイクロチャネル内熱流動のバルク時空間スケールとイオン層電位形成に関する時空間スケールとの物理的関係を明らかにし,分子吸着現象を支配する時空間スケールを特定し,熱流体力学観点からメカニズムの解明を行う.最終年度は,界面熱流動現象に関する理論の再構築を行い,イオン層電位形成メカニズムの解明を行う.
|
Research Products
(9 results)