2012 Fiscal Year Annual Research Report
全身の運動解析のための制約のないセンサシステムの開発と応用分野への展開
Project/Area Number |
23246041
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
井上 喜雄 高知工科大学, 工学部, 教授 (50299369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝田 京子 高知工科大学, 工学部, 准教授 (00307117)
長谷 和徳 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10357775)
武政 龍一 高知大学, 医歯学系, 講師 (20294837)
小池 関也 筑波大学, 体育系, 准教授 (50272670)
辻内 伸好 同志社大学, 理工学部, 教授 (60257798)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 計測工学 / 生体工学 / リハビリテーション / スポーツ工学 / ウエアラブルセンサ / 信号処理 |
Research Abstract |
スポーツ用の床反力センサとしてこれまで開発した歩行用のセンサの4倍程度の荷重に耐えうるプレートを試作した.試作したプレートについて6軸床反力について校正し,それによる計測結果を固定式床反力計の結果と比較し精度の検証を行った.開発したシステムをゴルフスイングに適用するための予備検討を行った結果,試作したセンサが十分使用できる性能を有するという見通しを得た.ウエアラブルな手袋型センサとしては,センサ数が多くなるためにできるだけ安価な構成部品を用いることを考え,その性能を校正によりカバーする方法を採用した.前年度検討した曲げセンサを手袋型センサの1本の指に装着し,精度の検証を行ない.曲げセンサの再現性の問題点を明らかし,その問題点に対応可能な校正法を開発した.義足内蔵6軸力覚センサの開発については,前年度最適設計した義足内蔵6軸力覚センサを試作し,試作した力覚計測システムの妥当性を確認するための実験を行った結果.妥当であることがわかった. 人間各部質量の同定法については,人間の各部の姿勢変化とそれにより発生する6軸の床反力変化から,逆問題として各部の質量を同定するアルゴリズムを開発した.まず,人間のマルチボディモデルによる数値シミュレーションを行い,その結果に前述のアルゴリズムを適用して質量を同定する方法についての見通しが得られた.制約のないウエアラブルな運動解析システムについては,前年度開発した手法を用いた実験により,歩行中の関節モーメントの推定を行った結果,足部の衝撃的な加速度の座標変換精度への影響度,および関節中心の同定精度が全体の精度に大きい影響があることを明らかにした. 当初次年度以降に実施予定であった起立訓練機へのセンサに適用についての検討を始めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績の概要に示したように,交付申請で示した今年度の実施内容については,おおむね順調に進展している. センサ関連では,一部のセンサでは予算の関連で構造の簡単化を行ったものの全体的には順調である.スポーツ用床反力センサについては,試作および基本部分の性能チェッククを終え,ゴルフスイングへの応用の準備ができた.手袋型センサについては,予算の関連で安価でシンプルな構成に変更したが,校正を工夫することによりある程度カバーできる見通しを得た.義足内蔵6軸センサについても,妥当性が明らかになり順調に進んでいる. ウエアラブルなセンサシステムを用いた運動解析関連でも,おおむね順調に進んでいる.ウエアラブルなセンサシステムによる運動解析については,基本的な信号処理技術はこれまでに開発済みであったが,今年度の実施内容により,床反力システムに内蔵した姿勢センサによる歩行中の座標変換の精度の重要性,姿勢センサの出力より作成するスティックピクチュアーの精度の重要性が明らかになり今後の開発の方向が見えてきた.さらに,運動解析の精度を高めるために有効な手段である被験者の各部の質量の同定法の開発も順調であり,手法の基本アルゴリズムの開発を完了し,数値実験により提案する手法が妥当であることがわかった. いろいろな分野へ提案法を適用することも順調に進んでいる.スポーツ分野に対しては,ゴルフスイングの診断や訓練に関する方法について,使用者であるスポーツ用具メーカが興味をもちメーカを巻き込みつつある.リハビリ関連では,すでに起立訓練機への応用を始めており,最近では歩行訓練機の実用化研究をしている研究者から共同研究の申し入れを受けている.さらにリハビリよりも市場が大きい生活支援の分野からの問い合わせもでてきている. 以上のように,全体を通して着実に目的達成に向かって進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要,達成度のところで示したように計画は順調に推移しており,今後も大きい計画変更は考えていない.これまでの2年間,センサに関するの基礎的な研究,運動解析技術のブラッシュアップおよび内容の追加,応用分野への展開と幅広く進めていたが,それらを全体的に見渡せば,その状況から,センサ,運動解析,応用展開それぞれにフィードバックすべき点や重点的に取り組むべき点が見えてきている. 運動解析では,現状のレベルでも使用者から一定の評価はいただいているものの,さらに精度が向上すれば,それに応じてマーケットが広がる感触を得ている.したがって,実績の概要や達成度で示したような見えてきた課題には注力したい.また,応用分野の拡張については,本研究のメンバーを主体として開催した学会のフォーラムには多くの聴講者が参加し質問も多かったことから,運動解析のウエクァラブル化や制約をなくす方向に対するユーザの関心は確実に広がっていると思われる.このように関心を持っていただいたいろいろな応用分野の課題のなかで,本研究では,ユーザの多さ,期待の大きさ,発展の期待度などを見ながら重点的に対応する課題を選んでいく予定である.センサ関連も順調に推移しているが,尻からの荷重を推定するセンサについては,分布型にすれば,手袋型センサの場合のように構成部品が多くなりコスト的に厳しくなることが判明したため,集中型のセンサを検討していく予定である.
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