2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23246045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小寺 秀俊 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20252471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲津 正夫 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10201162)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ・マイクロ電気穿孔 / 遺伝子導入 / 物質輸送 / マイクロファブリケーション / 電気泳動 / 拡散 |
Research Abstract |
ナノ・マイクロ電気穿孔法における分子輸送について可視化計測により詳細に考察した.本年度は,蛍光分子(2 nm),量子ドット(15 nm)およびプラスミド(150 nm)の三種の分子を用いて検討を行い,それぞれの輸送現象の特徴について考察を行った.ここでは,直径1~6μm程度のマイクロオリフィスに固定した細胞に対して1~100 msの幅を有するパルス状電圧を印可し電気穿孔を行った.パルス電圧の印可時は微小電流計を用いてマイクロオリフィスを通過する電流値を評価し,その値から細胞の受ける電場強度を算出した.また,電流値の時間変化から穿孔に伴う電流値の上昇が確認できた.一方,可視化計測から上記3種の分子のうち,蛍光分子が細胞膜の分子透過性を評価する上で感度の高い指標として利用できることが分かった.また,蛍光分子は電気穿孔時に生じる電気泳動よりもその後の分子拡散による分子輸送の方が支配的であることも分かった.量子ドットを用いて蛍光分子の場合と同様の実験を行い,電気穿孔時の輸送現象について計測を行った.電気穿孔後の蛍光輝度値の上昇が顕著でないことから量子ドットは主に電気穿孔時の電気泳動による輸送が支配的であると考えられる.また共焦点レーザー顕微鏡を用いた解析から導入された量子ドットの一部は電気穿孔時の電気泳動により直接細胞核内部へ導入されていることも明らかとなった.核膜に存在する核膜孔の大きさが大きくても6 nm程度であることから上記結果はナノ・マイクロ電気穿孔法により核膜孔の増大あるいは核膜の分子透過性の上昇が生じたことを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3種の分子(蛍光分子,量子ドットおよびプラスミド)を用いて可視化計測を行い,電気穿孔時におけるそれぞれの流動様式について解析を行った.蛍光分子および量子ドットを用いた実験では,両者の流動様式に関する新たな知見が得られ順調に研究が進んでいると言える.一方でプラスミドを用いた実験では,電流値計測を元に電気穿孔を評価する手法の構築を行い,これを用いた実験を継続的に実施している.
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Strategy for Future Research Activity |
実用上重要であるプラスミド等の輸送を中心に解析を行う.遺伝子発現までを視野に入れた場合,非染色のプラスミドを用いた実験が望ましいと考えられるため,昨年度までに構築した電流計測に基づく電気穿孔の判定法が有用であると考えられる.しかしながら,予備実験において電気穿孔後の細胞の生存率が低く,改善が必要である.現在の所,温度管理,培地およびプラスミド濃度等について一つ一つ検討し,条件の最適化を行っている.
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