Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 弘美 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (10268154)
森川 茂廣 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60220042)
三谷 篤史 札幌市立大学, デザイン学部, 講師 (70388148)
井上 貴浩 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (60453205)
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Research Abstract |
軟組織の接触に伴う変形と分布力の計測においては,導電性繊維センサを用いた滑りの計測と分布圧力センサによる滑り領域の追跡を実現した.導電性繊維センサによる計測においては,離散ウェーブレット変換により法線方向の変形と滑りによる変形を識別できることを見い出した.分布圧力センサによる追跡においては,画像オペレータにより触画像のテクスチャーを追跡し,局所的な滑りを動的に計測することが可能となった. 軟組織のマクロトライボロジーにおいては,人の指先の滑りの力学モデルを構築した.まず,MRIによる指先の計測結果を画像処理することにより,指先の三次元モデルを構成した.三次元モデルから動的な有限要素モデルを構築し,滑りのシミュレーションを行った.その結果,指先の局所的な滑りをシミュレーションすることができた.さらに,分布圧力の計測結果とシミュレーション結果を比較した.軟組織変形のモデリングにおいては,オンラインリメッシュの高速化を試みた.変形計算アルゴリズムをGPU向けに構成することにより,高速化を実現した. 軟組織のマイクロトライボロジーにおいては,ビーム束モデルに基づく定式化を進めた.ビーム束モデルでは,柔軟な指先を有限個のビームの集合として表すとともに,接触面に2次元弾性変形の有限要素モデルを導入し,ビーム間の力学的相互作用を表す.結果として,柔軟指における接線方向のマクロな変形と,滑りに起因する接触面のミクロな変位を定式化でき,滑り始める直前の挙動である初期滑りを解析できる.初期滑りは,軟組織の滑りにおいて特徴的な挙動であり,このビーム束モデルにより軟組織の滑りの理論的な解析が可能となった.特に,ビーム束モデルを用いて半球柔軟指の滑りをシミュレーションすることにより,導電性繊維センサを用いた滑りの計測における現象を解析することができた.また,滑り評価用のマイクロテクスチャーを製作した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軟組織の接触に伴う変形と分布力の計測と軟組織のマイクロトライボロジーにおいては順調に進展している.軟組織のマクロトライボロジーにおいては,インピーダンスモデルではなくビーム束モデルを適用することを検討し,研究を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
軟組織の滑りのモデリングにおいて,ビーム束モデルの有効性が示されたため,ビーム束モデルを用いた解析を進める.滑りの計測においては,導電性繊維とフレキシブル電極を用いたセンサを検討する.また,局所滑りの計測を精密化する.シミュレーション結果と実験結果の比較を通して,軟組織の接触面における現象を理解する.
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