2012 Fiscal Year Annual Research Report
次世代重粒子線がん治療装置用超伝導加速器の基盤技術開発
Project/Area Number |
23246053
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石山 敦士 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00130865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 宏 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00097263)
王 旭東 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (20550346)
若尾 真治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70257210)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 加速器 / 超伝導材料 / 電気機器工学 / 量子ビーム / 癌 |
Research Abstract |
次世代の小型・高効率・高性能の重粒子線がん治療用超伝導加速器「先進ハイブリッド・サイクロトロン(AHC)の実現」を最終目標に、必要となる高温超伝導コイルシステムの開発を進めた。本年度は、研究計画に沿って次の3項目を実施した。1)重粒子線がん治療装置用加速器仕様のもとで必要となる超伝導線材量を最小化するAHC用等時性磁場発生コイルの設計最適化を進めた。制約条件の中でコイルの機械強度が律速条件となる。最新の高温超伝導コイル技術開発(NEDOプロジェクト)で達成された高機械強度化の成果を踏まえて、1.2GPa以下という制約を設定して設計を試みた。その結果、初年度設定した条件下(600MPa以下:従来の低温金属系コイルの2倍の機械強度)の結果と比較して、使用線材量をさらに40%以上削減できることが示された。2)加速器においては100ppm程度の発生磁場精度が要求される。そこで、不整磁場発生要因と考えられるa) コイル巻線精度、b)超伝導線材に誘導される遮へい電流の影響について実験と数値解析により評価を行った。a)については、試作モデルコイルを用いて発生磁場精度評価実験を行った。また、コイルの巻線精度が実規模コイルの発生磁場精度に与える影響を解析・評価した。b)については、モデルコイル実験と数値解析により発生する遮へい電流とそれによる不整磁場分布を明らかにした。2)昨年度に引き続き市販のYBCO線材とBi-2223線材を試料として、中性子照射前後の超伝導特性(Jc-B特性)と機械特性(曲げに対する超伝導特性)を比較評価した。その結果、これまでのところ致命的な特性劣化は観測されていない。3)ビームの入射位置・角度、入射機器および引出直前のビームのターンセパレーションを最大化するためのコイルと、ビームを100%取り出すための引出コイル等の配置・形状を3次元磁場・軌道解析により試設計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(2011年度)助成金の全額支給の可否に係ってモデルコイルの試作が遅れた。そのため、初年度実施予定であったモデルコイルを用いた巻線誤差評価実験が2年度目(2012年度)にずれ込んだ。当初の予定では、最終的に試作したモデルコイルを中性子線照射して特性変化を観測することになっていたが、これを年度内に実施することができなかった。その他については予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り研究・開発を進める。そして3年間の研究の集大成として、高温超伝導技術を活用した重粒子線がん治療用サイクロトロンの成立性を検証するとともに、その有効性・開発意義を明確にする。
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Research Products
(31 results)