2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造磁性フォトニック結晶を用いたコリニア体積磁気ホログラムメモリに関する研究
Project/Area Number |
23246060
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
リム パンボイ 豊橋技術科学大学, 国際交流センター, 特任准教授 (40502597)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 光輝 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90159997)
高木 宏幸 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40390463)
BARYSHEV Alexand 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, テニュアトラック准教授 (70402667)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 電気・電子材料 / ホログラムメモリ / 磁気ホログラム / ノイズ低減 / コリニア方式 / 短パルスレーザ / ガーネットメディア / 多重記録 |
Research Abstract |
リライタビリティを有する磁気媒体の形成目的として、以下の研究を行った。 記録媒体に関する研究として、まず解析が容易な二光束干渉方式に対し、マルチフィジックス有限要素法解析ツールのコムソルを用いた数値解析と多結晶磁性ガーネット膜への書き込み実験により、高い回折効率を有する書き込み条件について検討した。前年度導入したピコ秒パルスレーザを用いた書き込み条件と多結晶薄膜ガーネットを用いた記録媒体の構造の検討を行った結果、3μm厚の多結晶イットリウム鉄ガーネット(YIG)膜にピコ秒レーザを用いることにより、従来のナノ秒レーザに比べ回折効率が0.01%から0.03%に改善できることが分かった。一方、YIG膜ではフリンジを書き込める厚さが約2μmであり、膜厚を厚くしても回折向上は困難であることが実験と数値解析から分かった。そこで吸収係数が小さくファラデー回転角の大きな磁性膜を使用することで、更に回折効率を改善しノイズを低減できる可能性があることを数値解析により示した。そうした特性を持つ材料としてガドリウム鉄ガーネット(GIG)を選択し、実際に多結晶膜を作製し評価したが、回折効率の向上は認められず、磁化の角形比が小さいことが原因であり、角形比の改善が必要であることが分かった。そのため角形比の良いYIG膜とGIG膜との多層構造について検討した結果、回折効率を0.05%まで向上させることができた。更にコリニア方式についても、計算機シミュレーションで干渉縞の形成ができるようになってきており、数値解析による効率向上条件の検討を進めている。 一方、薄膜試料と磁性フォトニック結晶の組み合わせについて、数値計算により検討した結果、入射光の角度の変化が大きいため、入射角によって光の閉じ込め効果が大きく異なり、干渉縞の形成に悪影響を与える可能性があることが課題として明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
記録再生系の検討については、短パルスレーザによる熱拡散の影響を低減することで、高回折効率な記録ができるようになった。記録媒体の研究Iについては、光磁気メディアに適した体積記録できる材料および構造について検討し、従来よりも5倍大きな回折効率が得られるようになっている。またコリニア磁気ホログラムについても、計算機シミュレーションにより干渉縞の形成ができるようになった。一方、薄膜試料と磁性フォトニック結晶を組み合わせた光エンハンスドメディアの実現に関しても、基本的な課題を明らかにすることができた。以上より、計画にあげた光磁気エンハンストメディアの形成については、おおむね順調に進んでいると考える。それに対しコリニアホログラムの多重性の検討とストレージとしての評価については、ピコ秒レーザを組み込んだ記録再生系の構築は出来たものの、再生信号のエラーレートなどのストレージとしての評価については、まだできておらず、今年度実施の予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
記録媒体に関する研究I(光磁気エンハンストメディアの形成と特性解明):昨年度までの研究で明らかになった磁気体積記録に必要な条件を踏まえ、多層構造を有する光エンハンスドメディアを形成し、その特性を詳細に調べる。 記録媒体に関する研究II(コリニア磁気ホログラムの多重性):上記を含め、いままで得られた高効率メディアを使用して、コリニア磁気ホログラムの多重書き込みを行い、その多重性と回折効率の関係、ならびにS/N比や再生信号のエラーレート等の観点から詳細に調べる。また数値解析などにより、書き込み条件の違いによる干渉縞の変化と回折効率の関係などについても検討し、高効率な磁気記録媒体の形成を行う。 記録再生系に関する研究I(磁気ホログラム記録再生データのストレージとしての評価):再生信号のエラーレートやS/Nを定量的に評価するシステムソフトウェアを構築し、ピコ秒レーザを組み込んだ記録再生系に導入して、磁気ホログラム記録再生データのストレージとしての定量評価を行う。 記録再生系に関する研究II(コリニア磁気ホログラムメモリプロトタイプシステム構築):以上の研究成果を踏まえ、音声や画像などのデータをコリニア磁気ホログラムとして記録再生するプロトタイプシステムを構築する。
|
Research Products
(21 results)