2011 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドをテンプレートとした固相グラフェンナノリボンの創出とデバイス応用
Project/Area Number |
23246063
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 淳一 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10361320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白木 賢太郎 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90334797)
山田 洋一 筑波大学, 数理物質系, 助教 (20435598)
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Keywords | グラフェン / 固相反応 / アミロイド / ナノリボン / 結晶方位 / エピタキシャル / FET / C60 |
Research Abstract |
液体Gaとアモルファス炭素との界面におけるグラファイト化反応に関して、Ga表面への炭素固溶機構を明らかにした。従来を炭素非固溶とされたGaであるが、微粒子の最表面約5nm程度の範囲では最大50at%にも達する予想外に大きな炭素固溶が実現しており、固溶した炭素からグラフェンが形成されることを見出した。さらに、アミロイド分子のグラファイト化ではGa接触面において実際にG/2D比が2に達する、ほぼシングルのグラフェンが合成される事も見出した。しかしながら、Ga表面での非常にわずかながらも溶けた炭素の再結晶化が基板全面で起こる事も見出した。 同時に本研究テーマにおけるアミロイド線維に関して、線維状のタンパク質凝集体を人工的にかつ安定的に形成させる条件の検討を進めた。タンパク質としては、線維状凝集体の形成条件をすでに明らかにしてきたニワトリ由来リゾチームとウシ由来βラクトグロブリンを用いた。タンパク質は高温で化学的に劣化し、β脱離反応や脱アミド化が生じ、それが引き金となって凝集が進むことが明らかになった。等電点付近だとタンパク質は速やかに球状の凝集体を形成し、溶液添加剤で制御可能なことが明らかになった。 さらに、固相合成グラフェンナノリボンの結晶を目的として、グラフェン化過程の直接観察のための走査トンネル顕微鏡(STM)観察システムの整備を行った。この作製したシステムを用いてアミロイド線維より単純なC60分子のグラフェン化の過程を計測することに成功した。また、白金表面上に作製したC60単分子層を加熱処理することで、C60分子を表面上でポリマー化しその後グラフェン化できることがわかった。さらに、同様のメカニズムでアミロイド線維をグラフェン化するため、白金表面上にアミロイド線維を分散固定する手法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災の影響で実験装置系の復旧に手間取り、実質的な研究開始が遅れてしまった。特に、電子ビーム露光系、透過電子顕微鏡系での性能保守部品の復旧に時間がかかった。 現時点ではほぼ、通常通りに実験装置が稼働し、研究が進みつつあり、今年度の目標達成に支障は無い見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年に予定していた電気泳動を組み合わせたマイクロ流体デバイスによるアミロイドの方向制御を完成させる。また、銅やその他高融点金属表面での固相反応を用いたGNR構成とGNR転写技術を発展させていく。さらに、SiO_2や有機膜によるゲート絶縁膜形成の最適化を行いトップゲート型GNR-FETの構築とFET特性評価を行っていく。さらにテンプレートとなるアミロイド分子がナノメートル・スケールの幅をもちマイクロメートル・スケールにまで伸張させることのできる溶液条件の検討を進める。また、グラフェン化の過程をSTMによる直接観測を行い、固相グラファイト化反応の形成メカニズム解明を推進していく。
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Research Products
(34 results)