2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポンプ-プローブレーザーテラヘルツ放射顕微鏡の開発と超高速電子デバイス材料の探索
Project/Area Number |
23246066
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 博成 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 准教授 (30219901)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川山 巌 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 准教授 (10332264)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | テラヘルツ / 近接場光 / 顕微鏡 / 半導体 / フェムト秒レーザー / 時間領域分光 / キャリアダイナミクス / ナノサイエンス |
Research Abstract |
原子間力顕微鏡とフェムト秒レーザー光学システムを組み合わせた近接場光励起タイプのポンプ-プローブテラヘルツ放射顕微鏡システムの基本形の構築を行い,これまでこのシステムを使って近接場光励起によるテラヘルツ電磁波パルスの放射に成功している。 具体的には,カンチレバーとして先端に励起レーザー波長の3分の1程度の径の微小孔を形成したものを利用し、この孔にレーザー光を集光させることによりカンチレバー先端から近接場光の発生を行った。この近接場光を使った励起によりテラヘルツ電磁波パルスの発生・検出に成功した。 この近接場光を使ったテラヘルツ電磁波パルスの発生・検出には成功したものの,今のところ放射されるテラヘルツ電磁波パルスの強度は弱く,今後照射レーザーパワーの増強による発生テラヘルツ電磁波パルスの強度増加および,検出感度の更なる向上を行う必要がある。このレーザーパワーの増加に関しては,パワーを増加させることによりレーザー照射時のカンチレバーおよびチューニングフォークの温度上昇が生じ,チューニングフォークの共振周波数の安定性が保てないという問題が生じるため,今のところ近接場光励起状態での高分解テラヘルツイメージの取得には至っていない。これを解決するために,カンチレバー表面に金コートを施し,カンチレバーへのレーザー光の吸収を抑えレーザー照射時の温度上昇を抑制し共振周波数の安定化が計れるよう実験を進めている,今後,安定性を確認した上で近接場光励起時のレーザーテラヘルツ放射顕微鏡観察を行う予定である。また検出感度の向上に関しては,低温成長砒化ガリウム(LT-GaAs)状に形状の異なるダイポール型アンテナを作成し検出感度の比較を行っている。現在までのところアンテナスイッチ部の幅を1テラヘルツに相当する波長300μm程度にすることによって感度の上昇化に成功している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では,平成25年度当初から近接場光を使ったポンプ‐プローブテラヘルツ放射法による半導体デバイス等のミクロ領域でのキャリアダイナミクスについて研究を開始する予定であったが,現在その前段階の近接場光励起のテラヘルツ放射顕微鏡のシステム安定性に関する研究を行っている。その理由として,平成23年度の予算交付時期が遅れたため,本研究で必要不可欠な近接場光発生用の走査プローブ顕微鏡システムの発注の遅延を余儀なくされ,その納期が平成23年度末になったことが挙げられる。 しかしながら,その後はほぼ順調に研究が推進されており,現在すでに近接場光励起によるテラヘルツ電磁波パルスの発生および検出にも成功しており,また現在構築したシステムにおける諸問題に対する解決策もほぼ見通しが立っている。よって,今年度中に当初の目的であるミクロ領域でのキャリアダイナミクスの二次元的な評価を達成できる見込みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在問題となっている共振周波数の安定化を計るため,レーザーのカンチレバー孔部への集光性をさらに高めるととに,カンチレバーの孔周辺部の表面に金コートを行うことによりカンチレバー自体へのレーザー光の吸収を極力抑えレーザー照射時の温度上昇を抑制する。これにより近接場光励起時のレーザーテラヘルツ放射顕微鏡観察時の空間分解能として200nm 程度を達成する。ただし、この分解能についてはテラヘルツ検出感度との兼ね合いで、テラヘルツ検出素子の検出感度のさらなる向上に成功し,もし孔径をさらに小さくすることができれば、さらなる高分解能化も可能である。また非線形光学結晶SHG などの利用により、光源として用いるレーザーの2倍波、3倍波などを利用すれば数10nm の分解能も達成可能である。 このシステムを使ってポンプ‐プローブLTEM の実験を開始し,半導体材料やデバイス中の超高速キャリアダイナミクスについて,高空間分解能での評価を行う予定である。 一方これとは別に,近接場によって励起されたテラヘルツ電磁波の振幅強度は非常に小さく,高感度なテラヘルツ電磁波検出用光スイッチの開発も同時に行っている。現在までのところ低温成長砒化ガリウム(LT-GaAs)を使ったダイポール型アンテナのアンテナ長を変化させることで,検出感度の高感度化に成功している。この形状のさらなる最適化を計り,微弱なテラヘルツ電磁波パルスを効率的に検出できるようにする。
|
Research Products
(6 results)
-
-
-
-
[Presentation] Scanning Laser Terahertz Near-field Imaging System2012
Author(s)
K. Serita, H. Murakami, I. Kawayama, Y. Takahashi, M. Yoshimura, Y. Mori, J. Darmo, and M. Tonouchi
Organizer
Joint Meeting of JSAP Professional Group on THz Technology and IEICE Technology Group on THz Application Systems
Place of Presentation
Okinawa, Japan
Year and Date
20120706-20120706
-
-