Research Abstract |
現状のインターネット技術では,世界の人口の1/3が10Mbps級のブロードバンドを利用した場合,必要な電力は世界の総発電電力の1/2に達すると予測されている.1992年に申請者らが提案した光パスルーティングは大容量性,低消費電力性(ルータと比べて,2~3桁小さい)の観点で極めてインパクトが大きく,現在ROADMとして世界的に導入が開始されている.しかし,その導入は未だ限定的で、大規模なノードへの導入は実現されていない。その主な理由は、(1)現行のROADMシステムではノードで始終端する信号の波長や方路選択の自由度が大きく制約される,(2)効率的な大規模光ルーティングスイッチが経済的に実現できない,にある.本研究の目的は,上記2つの課題を解決する技術を開発するものである.本研究期間の研究成果の概要を以下に示す. (1)新しいアイデアに基づく,波長や方路設定に関する制約が無く,自由に光信号をadd/dropする為の光集積化機能部品/モジュールの基本設計を行なった.また,add/drop率に一定の制限を適用することにより,add/drop部分のハード規模が大幅に低減できる事を定量的に明らかにした.add/drop率の制限手法として,ノードに入力するファイバ全体に関する制限,ファイバ毎の制限,波長毎の制限,波長群を利用する場合は波長群毎の制限,がネットワークの性能に与えるインパクトを解析するための設計アルゴリズム並びに設計ツールを開発した. (2)大規模な光ルーティングスイッチノードを実現するに当り,ノードに必要な機能の分析とハードウエアとを対応づけた機能配備の最適化を行った.ルーティングノードに必要な,光信号のadd/drop機能,スルーパスのルーティング,波長群を利用する場合はグルーミングスイッチ機能,の各々について必要なトータルのハード規模が最小となる機能分割の最適化を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究課題の解決に向けて研究を精力的に進めており,予想以上の進捗を得ている.研究成果発表は国外・国内の会議で積極的に行なった.特に,国際会議では3件の招待講演を含む6件の講演と,国内会議では4件の招待講演を行なうなど,本研究成果に関しては,国内外で高い評価を受けていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
光集積回路の試作においては,世界をリードする最先端の試作企業(例えばアレイ導波路回折格子は日本が世界的に大きなシェアを占めている)との密接な連携により,申請者らのアイデアに基づく世界最高性能の各種光機能モジュールを実現する.各種デバイスの仕様は,適用領域やネットワークトポロジーに応じた様々なノードアーキテクチャに応じた最適化が必要となる.そのためにはネットワーク設計との密接な連携が必要となる.研究代表者は,全体の統括と主にハード設計に関する部分を担当し,分担研究者は主にネットワーク設計を担当している.上記の様にハード設計とネットワーク設計は相互に深く関連しているため,研究打合せは一体として行うなど,最大限の相乗効果が得られる体制で研究を進めている.
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