2011 Fiscal Year Annual Research Report
糞便汚染マーカー定量検出を基盤とした微生物学的水質管理手法の確立
Project/Area Number |
23246094
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡部 聡 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10253816)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 大輔 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80550368)
佐藤 久 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80326636)
石井 聡 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10612674)
|
Keywords | 遺伝子マーカー / ウイルス / 水質管理 / 糞便汚染 / 病原微生物 |
Research Abstract |
現行の糞便汚染指標である大腸菌群数は、水環境中での大腸菌群の増殖や,糞便に由来しない大腸菌群の検出など,その問題点も数多く指摘されてきている.また、ヒト病原ウイルスによる感染性胃腸炎など,比較的近年になって顕在化した感染症の制御をも念頭に置き,新規かつ合理的な糞便性汚染指標の確立による水域の微生物学的水質管理手法の開発が急務となっている.以上のような背景のもと,本研究では,宿主特異的遺伝子マーカー(腸内蛋白質分解細菌の最優占種であるBacteroides-Prevotella属由来遺伝子)及び化学マーカー(糞便性ステロール等)濃度をもとに水域の糞便汚染レベルを定量的に評価し,さらに糞便汚染源(ヒト,家畜及び野生動物等)を迅速かつ正確に特定する新規方法論を確立し,具体的な汚染防止対策の構築を含む合理的な微生物学的水質管理を実現することを目指す.本研究では,まず1)糞便汚染マーカー定量検出手法を確立し,さらに2)環境水中における糞便汚染マーカーの減衰速度,及び3)糞便汚染マーカー量と病原微生物濃度の間の相関を把握することで,最終的に4)糞便マーカー定量検出を基盤とした合理的な微生物学的水質管理法を構築することを目指す.本年度(平成23年度)は、代表的な家禽及び野鳥としてニワトリ及びカモの糞便から総DNAを抽出してBacteroides-Prevotella属細菌の存在を確認した.さらに16s RNA遺伝子領域の系統解析を行い,その結果をもとにニワトリ及びカモ特異的遺伝子マーカーを新規設計し、設計した遺伝子マーカーの特異性評価を行なった.次に、マーカー定量プロトコルの設計に着手した。遺伝子マーカーの回収・濃縮効率を評価する内部標準物質の設計,及び生菌由来遺伝子の検出方法の確立を目指し検討を開始した.遺伝子マーカーの回収効率を評価する内部標準物質の設計を行った.これにより既知量の内部標準物質を水サンプルに投入し,その内部標準物質の回収率でマーカーの定量値を補正する方法を確立できた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に計画していた、(1)鳥類(カモ、ニワトリ)に特異的な遺伝子マーカーの設計および、それら遺伝子マーカーの定量PCRによる定量方法を確立した。これにより、ヒト、ブタ、ウシ、カモ、ニワトリの糞便汚染を特定可能となった。また、これらの遺伝子マーカーを実際の水サンプルに適応する際に必要となるプロセスコントロール(内部標準)の作成にも成功した。これにより、実際の水環境中の個々の遺伝子マーカーのより正確な定量が可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度は概ね計画どおりに研究が進展したので、今後も、申請時に計画に従って研究を進展させる。平成24年度は、特に(1)生菌由来遺伝子マーカーと死菌由来遺伝子マーカーを区別して定量できる方法の確立を目指す。本研究ではPropidium mnoazide (PMA)を併用した定量PCR法を適用する。さらに、同一条件下で各種糞便汚染マーカーの定量検出を行い,定量値の安定性や阻害に対する頑健性を評価し,最も安定的に定量を行うことが可能な糞便汚染マーカーを見出すことを目指す.さらに、塩分濃度や塩素消毒の有無など,実環境で起こりうる影響を想定して,実験室内での培養実験により各種糞便汚染マーカーの挙動を評価する。
|
Research Products
(1 results)