2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23246097
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑村 仁 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20234635)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 鋼構造 / 座屈 / 破壊 / 塑性変形能力 / 耐震設計 |
Research Abstract |
鋼材の繰返し実験とその数値シミュレーション,および電子顕微鏡での破面分析を行った。具体的には次の事項である。(1)鋼材の繰返し履歴実験:砂時計型試験片を厚鋼板(厚さ65mm)から中央偏析を避けて採取し,単調引張試験,単調圧縮試験,および圧縮引張繰返し試験(載荷プロトコール7ケース)を行い,直径の変化をレーザー幅計で計測することにより,破断に至るまでの繰返し真応力-真ひずみの精確なデータを得た。(2)繰返し履歴の数値シミュレーション:砂時計型試験片の繰返し履歴挙動について有限要素解析で数値解析を行った。このとき,圧縮と引張の繰返しによるバウシンガー効果を考慮した履歴則としてPragerモデル,Chabocheモデル,Yoshida-Uemoriモデルを用いた。それぞれのモデルには未定係数が含まれるので,上記の実験データから係数値を求めた。応力ひずみ状態が刻々変化し,その過程で延性亀裂が進展する実験結果全体を一貫して精度良く再現できる数理モデル(応力ひずみ履歴構成方程式および延性破壊規範式)を決定した。延性破壊規範式については既に実施した実験データとの整合性も確認した。(3)破面分析:本研究で既に行っている座屈-破壊連成実験および上記砂時計型実験の破面をサーフィスビュー顕微鏡(走査型電子顕微鏡)で観察し,両者の破面形態が共通していること,および破壊進展過程(ボイド発生,ボイド連結,亀裂進展,最終破断)が数理モデルに適合していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定より試験体数を若干縮減する必要があったが,既往の実験データを援用することにより当初研究目的を達成することができた。翌年度実施予定の座屈と破壊の連成を考慮した地震応答解析の一部を先取りして実施し,翌年度の研究が進められることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究の最終年度となるので,今まで行った実験と解析を部分的に補足しつつ,それらを総合して座屈と破壊の連成を考慮した耐震設計の技術提案にもっていく計画である。
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