2011 Fiscal Year Annual Research Report
健康維持便益を統合した低炭素型居住環境評価システムの開発
Project/Area Number |
23246102
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊香賀 俊治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30302631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 周三 独立行政法人建築研究所, 理事長 (40013180)
星 旦二 首都大学東京, 都市環境学部, 教授 (00190190)
白石 靖幸 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (50302633)
樋野 公宏 独立行政法人建築研究所, 都市研究グループ, 主任研究員 (30391600)
安藤 真太朗 慶應義塾大学, 理工学部・研究科, 助教 (60610607)
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Keywords | 建築環境・設備 / 環境調和型都市基盤整備・建築 / 環境政策 / 健康影響評価 / 予防医学 |
Research Abstract |
平成23年度においては、『広範囲断面調査に基づく居住環境が及ぼす健康影響の解明』と題した実施計画に基づいて研究活動を行った。当計画は、居住環境のスケールに応じた2つのアプローチからなる。下記にその詳細(平成23年度の研究実施概要)を記す。 1)部屋・住宅スケール 部屋・住宅スケールにおける健康影響を検討するため、実測調査(被験者実験及び実住宅の現状調査)と、医療機関が保有する病院搬送時症例データベース(約3,000件)のデータを基として、熱換気回路網計算、数値流体解析、人体温熱生理モデルに基づく数値解析を実施し、居住環境と人体生理について再現を行った。また、必要に応じて全国区を対象としたアンケート調査によるデータ収集を行っている。これらによって、下記の室内環境及び浴室における熱中症リスクについて言及し、住宅の断熱性能と健康リスクに有意な関係性があることを示した。 2)都市・地域スケール 都市・地域スケールにおける健康影響を検討するため、多様な地域モデル(都市圏郊外住宅地、地方都市街なか、地方都市 郊外・農山村等)を対象としたアンケート調査を実施し、構造方程式モデリングによって各地域における健康形成構造要因モデルを構築した。その構造の比較・検討を行った。また、それらの調査結果に基づいて調査項目を再整理し、日本全国の現状と住民の健康状態の関係について包括的に調査するためのインターネットアンケート(約4,000サンプル)を実施した。以上によって、都市・地域スケールの健康影響評価ツールの開発に向けた基礎的検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、居住環境の低炭素化対策による健康維持便益の認識と普及に向けて、『(1)居住環境が健康へ及ぼす影響度の解明』『(2)居住環境の改善による健康被害低減の経済性評価』『(3)健康被害低減効果の認識が低炭素化対策の普及に与える影響の解明』を目的としている。平成23年度においては、(2)と(3)の達成のための(1)のエビデンスの確保に向けた調査を随時実施し、次年度以降の調査研究に向けて順調に進捗を重ねることが果たされた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度においては、『(1)居住環境が健康へ及ぼす影響度の解明』に向けて、実住宅の訪問調査や熱換気回路網計算・数値流体解析・人体温熱生理モデルに基づく数値解析手法、更に日本全国をフィールドとしたアンケート調査によって、居住環境における健康決定要因の探索とその健康影響度の定量化を実施してきた。健康決定要因については大枠を把握することが果たされたものの、影響の定量化については高度化の余地があるといえる。そこで、平成24年度については、救急医学及び健康科学の専門家を研究分担者として新たに迎え、前年の調査と新たな実測・実験によって得たデータを基にして想定ケースの拡張と分析の高度化を図ることで、影響メカニズムをより確かなものとして導く。前述の(2)と(3)の適切な評価を行うための確証を得ることを狙いとしている。
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Research Products
(37 results)