2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23246103
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田邉 新一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30188362)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 感染リスク低減 / 模擬咳発生装置 / 環境表面清浄度 / ATP測定法 / 数値流体解析 / 空気感染 / 接触感染 |
Research Abstract |
4床病室において1名の空気感染症患者が存在した場合の同室患者の感染リスクを数値流体解析により評価した。2種類の給排気システムについて解析を行い、ベッド間にパーティションを設置することによる感染リスク低減効果についても複数のパーティション寸法条件について解析を行うことで検討した。解析結果より、感染リスクの低い病室デザイン案を創出した。 環境表面清浄度の測定方法として、測定が簡便で即時に結果が分かるATP(Adenosine Tri-Phosphate)測定法が普及しているが、測定方法に明確な規定がなく、測定者によって結果に差が生じる問題がある。そこで、ATP測定法の最適な拭き取り方法を定めるために被験者実験を行った。実験結果およびアンケートの結果から、10cm角の面に対して縦横20往復と決定した。 定めた拭き取り方法に従いATP測定法を用いた病院内の環境表面清浄度を実測した。実測は外来の待合室及び診察室において業務開始前と終了後に行い、有機物が多く含まれ病原体が繁殖しやすくなる箇所を把握した。実測の結果から、医師の椅子の手摺が業務開始前と終了後ともに最も高い相対発光量となった。使用頻度が高い階段の手摺や医師の椅子の手摺、握るなど圧力をかける動作を行うドアノブは業務前後の相対発光量の増加量が多かった。使用頻度が少ないベッドの手摺やカーテン、また使用時の動作での触れ度合いが軽度の自動診察受付機のパネルやキーボードは増加量が少なかった。実測結果より、効果的な清掃方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染リスクの低い療養環境の実現のため、4床病室における感染リスクに関する数値流体解析および実大病室実験を行い、感染リスクの低い病室デザイン案の創出を行うことができた。 また、環境表面汚染度測定法であるATP測定法の最適な拭き取り方法を被験者実験の結果から定めた。定めた測定方法を用いて病院における環境表面清浄度の実測を行い、清掃プログラムから漏れている個所や、医師や看護師の意識と実態に相違があり、注意が必要な個所を把握することができ、感染リスク低減に効果的な清掃方法を定める上で大変有用な研究成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
模擬咳発生装置については、相対湿度と飛沫の挙動の関係についてより詳細な調査を行うため、気体と液体を同時に噴出可能とする改良を継続する。 感染リスクの低い病室デザインを実現するため、咳により発生する飛沫、飛沫核挙動に関する数値流体解析および模擬咳発生装置を用いた実大病室実験を行う。 接触感染リスクについて、病室内行動解析および環境表面汚染度の調査を行い、有効な対策を提案する。
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