2012 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算の多重実行と統計力学に基づいた酸化物固溶体の構造と物性
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23246111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 功 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70183861)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / セラミックス固溶体 / 平衡状態図 / 熱力学 / 統計力学 |
Research Abstract |
本研究では,高精度第一原理計算と統計力学計算を組み合わせて,酸化物の固溶体構造と物性を評価する新しい計算手法を開発し,具体的にプログラムとして実装,計算を実行する.計算結果の検証と,計算手法の改良を目的として,固溶体試料の合成および評価実験を並行して行い,計算にフィードバックさせる.統計力学計算では,最適クラスター展開手法,ダブルクラスター展開法,自由エネルギーの評価法を開発する.第一原理計算では,GGA+U 法やハイブリッド交換相関法による新しい取り扱い手法について精度を検討する.これらの計算手法を等価酸化物固溶体系に適用し,構造と状態図を系統的に算出する.固溶体の磁性とイオン伝導性についての理論的検討も進める.磁性材料の計算にあたっては,イジングモデルを適用してダブルクラスター展開する場合と,ハイゼンベルグモデルに基づく場合とを比較する.イオン伝導性については,陰イオン副格子の欠陥構造を評価する.平成24年度は,前年度に計算した内部エネルギーとフォノンの多重実行計算結果を統合し,様々な構造についての自由エネルギーの温度・圧力依存性を計算する汎用プログラムを確立させ,状態図を作成した.また,等価酸化物固溶体についての計算を終えた.具体的には,MgO-ZnO系などにおいて,クラスター展開法を用いた網羅的エネルギー計算による基底状態探索,熱力学積分法による自由エネルギー計算,モンテカルロ法による平衡状態図計算を行った.さらに,磁性を採り入れた計算を開始した.この際,前年度開発したダブルクラスター展開手法を用いてイジングモデルで磁性を取り扱った.また磁性元素の電子状態計算の精度検討を行い,GGA+U,ハイブリッド法により磁性元素を含んだ系における電子状態の高精度計算が可能であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画において,予定していた事項はほぼ完了した。さらに本年度の研究計画では予定していなかった磁性を採り入れた計算を開始するなど,当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階では順調に進捗している。今後も計画通り研究を推進する予定であるが,研究を遂行する上で問題が出てくることも予想される。本研究の理論計算において想定される最大の問題点は,クラスター展開の精度不足である。その原因として予想されるのは,①電子状態計算における交換相関項の系統的誤差と数値誤差,②クラスター展開そのものの精度不足である。本研究で開発した手法に致命的な問題が見つかった場合には,研究対象となる物質数が減ってしまうことはやむを得ない。むしろ将来に繋がる方法論の構築を優先する
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Research Products
(3 results)