2012 Fiscal Year Annual Research Report
高品位六方晶窒化ホウ素単結晶の創製と新たな機能発現
Project/Area Number |
23246116
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
谷口 尚 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (80354413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 賢司 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (20343840)
山田 貴壽 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (30306500)
宮川 仁 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (40552667)
中山 敦子 新潟大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50399383)
川村 史朗 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (80448092)
大場 史康 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90378795)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 六方晶窒化ホウ素 / フラックス法 / 遠紫外線発光 |
Research Abstract |
本研究は高輝度の遠紫外線発光やグラフェンデバイス用の良質基板への展開で求められている、六方晶窒化ホウ素良質単結晶の大型化と、新たな機能発現を目指している。H24年度は、前年度導入した窒素ガス圧炉(10気圧以下)を用いて、金属系溶媒(Ni,Co-Mo,Cr系)による結晶成長を行った。炉内の高さ方向の温度勾配を利用し、上段の低温度側でhBN再結晶化の収量が増大することを見いだした。得られた単結晶は、高圧合成によるものとほぼ同等であるが、欠陥の導入機構に高圧合成と異なる傾向が見られている。 バンド端で強いエキシトン効果を示すh-BNのバンドギャップエネルギーは未だに議論があるが、フランスCNRSグループとの共同研究により、発光の励起スペクトルと光伝導特性を測定し、そのバンドギャップエネルギーを6.4eV以上であることを明らかにした。 hBNーウルツ鉱型(w)BNの圧力誘起構造相転移はマルテンサイト変態であり、静水圧環境を利用するなどによりhBN 単結晶をうまく加圧できれば、準安定相であるwBNでもhBN結晶子と同様なスケールでの回収が期待できる。そこでラマン分光法を用いて単結晶hBNの圧力誘起構造変化をその場観察し、単結晶wBNを取り出すことを試みた。10GPa以上の圧力下でも単結晶が観察されたが、hBNの面内振動 E2g2 モードが消失した。減圧後に取り出した単結晶試料においても hBNの面内振動が得られず、10GPaでhBNからwBNに相転移し、構造を保持したまま、wBN単結晶が回収できたことを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今課題で重点的に取り組む、高窒素ガス圧下単結晶成長装置をH24年度に導入し、順調に稼働している。良質単結晶成長の大型化を実現するには結晶成長の諸条件を引き続き吟味する必要があるが、これまでの試行錯誤により、欠陥評価の観点では従来型の高圧合成法とほぼ同様か、一部それを上回る特性の単結晶が得られた。大型化のための最適化は引き続き課題であるが、合成装置の導入・稼働は順調に進んでいる。 また、共同研究によりhBNのバンドギャップの詳細な評価、wBN単結晶への転換、グラフェン基板材料としての特性発現など、全体計画の枠組みも順調に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
良質単結晶の大型化が依然として大きな課題である。これに加え、不純物添加による特性発現に注力していきたい。遠紫外線発光効率の増大のためには、半導体特性制御による注入発光への指針を得ることが重要で、p型、あるいはn型半導体特性の発現が引き続き大きな課題である。 グラフェン基板材料として展開は、国内外約50研究機関との連携を進めているが、次年度も同様な連携研究を進めていきたい。 BN結晶構造として知られているウルツ鉱型BNは単結晶が得られた例が過去になく、その特性が不明である。本研究で得られた良質hBNを原料として得られるwBN結晶の特性(半導体特性、発光特性など)を明らかにしたい。
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