2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化を用いた高強度・高靭性Fe基バルク・ヘテロ金属ガラスの創成
Project/Area Number |
23246119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 彰宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30315642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 嘉彦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00261511)
竹内 章 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (40250815)
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80323096)
張 偉 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20400400)
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Keywords | 金属物性 / 磁性 / ナノ材料 / 電子・電気材料 |
Research Abstract |
平成23年度前半は、(Fe0.76Si0.1B0.08P0.06)99.9Cu0.1(at%)合金を中心組成として、ヘテロガラス構造を形成する組成範囲をCu添加量に対し調査し、次いでPを含む半金属量のヘテロガラス構造及びガラス形性能に及ぼす影響変化を詳細に調査した。その結果、(Fe0.76Si0.1B0.08P0.06)100-XCuX(at%)のX=0~0.6の範囲において比較的大きなガラス形成能を有することを見出し、銅鋳型鋳造法にて直径2.5mmまでの大きさのバルク材の作製に成功した。また得られたバルク材は圧縮破壊強度3.3GPaおよび3.1%もの優れた塑性変形能を示すことを確認した。 さらに平成23年度後半には構造解析(X線回折、透過電子顕微鏡)や各種熱分析装置を用い、組織中に形成するナノα-Fe相の粒径と体積分率についての系統的なマッピングを通じて、ヘテロ構造が形成する組成傾向の定性的な分析も行った。その結果、(Fe0.76Si0.1B0.08P0.06)100-XCuX(at%)合金中には直径10nm以下の小さなα-Feのクラスターがガラス相中に分散した組織を呈しており、これらのクラスターが優先的にせん断帯の導入に寄与するため巨視的な塑性変形を付与することができたものと考察された。一方で、過度なCu元素の添加はナノ結晶相の分散を促進するが同時にガラス形成能を低下させることも明らかとなり、最適な量のCuを添加することにより最大塑性伸びを引き出すことが可能であると結論付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ナノ結晶相の分散により塑性変形能を付与することが研究の目的であったが、3.1%もの高い値を示すことは当初の目標より大きい値であり、直ちに工業的応用が期待できるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
(Fe0.76Si0.1B0.08P0.06)99.9Cu0.1(at%)合金が優れた機械的特性を示すことが明らかとなったため、今後はこれらの合金組成を用いて粉末を作製し焼結することにより大型バルク材が作製できる可能性について調査をおこなう。焼結バルク材では、入熱によるガラス相の構造緩和脆化によって靭性の低下が懸念される。高靭性達成のためには、可能な限り脆化を押さえた試料作製方法を講じる必要があるものの、脆化相の破壊き裂伝搬はα-Fe微粒子による応力の分散・多軸化によって回避可能であるとみている。
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