2013 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化を用いた高強度・高靭性Fe基バルク・ヘテロ金属ガラスの創成
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23246119
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 彰宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30315642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 嘉彦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00261511)
湯葢 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00302208)
竹内 章 東北大学, 金属材料研究所, 特任教授 (40250815)
吉年 規治 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60586494)
久保田 健 弘前大学, 北日本新エネルギー研究所, 准教授 (70400405)
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80323096)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属物性 / 軟磁性 / ナノ材料 / 電子・電気材料粉末冶金 |
Research Abstract |
平成25年度からはFe‐Si‐B‐P‐Cu0~0.7合金の大型バルク化を実現するために粉末冶金法を用いた試料作製プロセスの開発を行っており、粉末作製方法として最も一般的なガスアトマイズ法を用いて粉末の作製を試みた結果Cu濃度0.7atm.%までの合金組成でアモルファス相を有する粉末の作製に成功した。得られた粉末は表面が滑らかであり球形状をしていることが確認された。得られた粉末の固化成形時において、放電プラズマ焼結法を用いた場合は温度分布が不均一であり、粒子接合部において微細な結晶化が発生していることが明らかとなった。これは結晶化にともなう原子拡散により焼結が進行していくことが期待されるが、一方でアモルファス相の粘性流動変形がその周辺でほとんど起きなくなるため、相対的に焼結速度が急激に低下することになる。したがって、焼結時の温度保持時間を長くすることが求められるが、結晶化の進行と結晶粒の粗大化が起き、粒子接合部のみならずマトリクス全体としてのアモルファス相が失われ、もはやアモルファス相の優れた特性も同時に失われる可能性が示唆された。このように焼結時の圧力、温度および保持時間などのプロセスパラメータを厳密に制御する必要があることが明らかとなり、Fe‐Si‐B‐P‐Cu0~0.7ヘテロアモルファス相の熱的安定性についても基礎的な観点から調査が必要と考えられ、実験的な調査を開始している。 さらに25年度からは、このような低い熱的安定性を有するヘテロアモルファス相を、組織制御しながら緻密化させる新しい焼結プロセスとして誘導加熱による高速加熱型の焼結プロセスの開発に取り組んだ。これにより均一でかつ200℃/minの昇温速度で加熱することが可能となり、クラスタリングの制御により内部組織構造を制御しながら焼結固化を行う方法について実験的検討をスタートさせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放電プラズマ焼結法を用いた場合には温度分布が不均一で粒子接合部において微細な結晶相が発生することが明らかとなったが、これを解決する新しい焼結プロセスの開発に成功しており、大型バルク化が期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ガスアトマイズ法で作製したFe‐Si‐B‐P‐Cuヘテロアモルファス粉末に対し、新たに開発した焼結プロセスを用いて固化成形することにより大型バルク材を作製し、最適な焼結条件や粉末熱処理条件を明らかにする。このとき、焼結時に不均一に発生する結晶相の抑制および制御を目的とした最適組成についても合金探査を行い、バルク試料成形後にヘテロ構造を維持できる材料組成およびプロセスの両面から研究開発を行う。一定の大きさのバルク試料を得られた後には、それらの機械的特性調査などを行うことにより社会基盤材料となりうる可能性について明らかにする。
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