2012 Fiscal Year Annual Research Report
ホログラフィックレーザープロセッシングによる元素拡散制御
Project/Area Number |
23246121
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 清貴 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60418762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下間 靖彦 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40378807)
坂倉 政明 京都大学, 学内共同利用施設等, 特定准教授 (90402958)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アモルファス材料 / フェムト秒レーザー |
Research Abstract |
昨年度、元素移動現象が主に温度勾配が駆動力となり生じていることを明らかにした。そこで、元素移動の支配要因である温度勾配(分布)の制御を目的に、まず空間光変調器(LCOS-SLM)による既存のホログラフィックレーザー集光照射システムを元素拡散制御に適したシステムとして再構築した。このシステムにより、繰り返し周波数の異なる(熱蓄積効果が異なる)フェムト秒レーザーを任意のパターンで複数同時集光照射することで、温度や圧力の分布・勾配および衝撃波の発生・伝搬等の制御が可能となり、元素分布の形状や元素移動量が制御できることを確認した。さらに、二種類のレーザー(繰り返し周波数:1 kHzと250kHz)の照射位置(集光点位置)を三次元的に相対変化させることで、リボン状の元素分布形成が可能であることも確認した。 ガラスにおける相分離現象はナノメートルからマイクロメートルスケールの多孔構造を形成するために利用されており、一般に分相ガラスは不混和組成下にあるガラスを熱処理することによってガラス全体で起こる現象であるが、ホログラフィックレーザー照射により元素分布の形状および組成比を制御することで、ガラス表面や内部において空間選択的な分相領域の形成が可能となった。さらに、このサンプルをエッチングすることで、マイクロ-TAS等への応用が期待できる共連続構造が局所選択的に形成可能であることも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
元素分布形成の主駆動力である温度勾配や分布形状を制御することを目的としたホログラフィックレーザー集光照射システムを構築することができ、このシステムを用いて元素分布の形状制御を可能とすることができた。さらに、元素分布形成により局所的なガラスの熱物性を制御することができ、概ね計画通りに進捗しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
元素拡散による元素分布形成メカニズムの知見をもとに、構築するホログラフィックフェムト秒レーザープロセッシングシステムを活用し、実際に均質ガラス内部の特性を元素分布形成により局所的に制御することで、新しいガラス材料の各種デバイスへの応用の可能性を検証する。 具体的には、高電場領域に屈折率が高くなる元素を高濃度化させることで実現できる、任意の屈折率差と形状を有するマイクロレンズや光導波路アレイの作製、結晶化温度制御による局所領域のみの非線形光学結晶析出による波長変換素子やナノ結晶析出による発光素子、相分離温度制御による局所領域のみでの相分離形成とエッチングとを組み合わせて作製する三次元マイクロリアクターやナノフィルターへの応用、発光イオン濃度を三次元的に任意のパターンで高濃度化させるとともに、その領域を高屈折率化し光閉じ込め効果を利用することで実現する新規低発振閾値マイクロレーザーデバイス等の創製を試みる。
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