2012 Fiscal Year Annual Research Report
LPSO型マグネシウム合金のプロセス設計と合金設計
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23246122
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河村 能人 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 教授 (30250814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞山 剛 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (40333629)
山崎 倫昭 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 准教授 (50343885)
金 鍾鉉 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 特任助教 (20500268)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マグネシウム / 長周期積層構造相 / 合金設計 / 組織制御 / 塑性加工 |
Research Abstract |
1.鋳造塑性加工プロセス技術の開発 1-1. プロセスに適した最適合金成分の開発: (1) Mg-Zn-Y系合金への第四元素添加が押出材の機械的性質(室温、高温引張強度、クリープ)に及ぼす影響を調査し、希土類(RE)添加量の増加に伴い押出加工材の強度が増加することを明らかにした。特にMg-Zn-Y系合金にLPSOを形成しないREを少量添加することによりLPSO相以外の第三相としてMg-RE金属間化合物が形成し、その量が増加することで室温及び高温引張強度、クリープ強度が増加することがわかった。(2) 鋳造組織中のLPSO相と化合物の体積分率、そして押出加工条件が押出材の組織と機械的性質に及ぼす影響を調査したところ、LPSO相および化合物の体積分率増加に伴い強度が上昇し、また、押出速度が遅いほど室温及び高温強度が増加することがわかった。 1-2. プロセス技術の開発: Mg-Zn-Y合金をモデル合金として、鋳造組織中の結晶粒径変化が押出材の組織と機械的性質に及ぼす影響を調査したところ、鋳造時の冷却速度が速いほど鋳造材の結晶粒サイズおよびデンドライト二次アーム間隔が減少し、長周期積層構造相の高分散化及びα相再結晶領域の増加が起こることがわかった。 2. 粉末冶金プロセス技術の開発 鋳造押出プロセスにて優れた機械的特性(0.2%耐力573MPa、塑性伸び3%)を示したMg-Ni-Y系合金を対象に、急速疑固粉末冶金技術及び切削チップ固化成形技術開発を行ったところ、強化メカニズムの観点から長周期積層構造相へのキンク変形帯導入と長周期積層構造相の効果的な分散のためにチップ工程が非常に有用であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1. 鋳造塑性加工プロセス技術の開発 LPSO相を有するMg-Zn-Y合金にLPSO相を形成しないREを第四元素として微量添加することで、高温引張強度が三元系Mg-Zn-Y合金に比べて約135%上昇し、さらにクリープ特性も向上することがわかった。これらの特性は、現在航空機用材料として使用されているアルミニウム合金の特性と対等である。これはLPSO型Mg合金の航空機用素材としての適用性を示す成果である。また LPSO型Mg-Zn-Y系合金に、耐食性やクリープ特性を付与する機能元素に関する知見をデータベースとしてまとめることを試み、A1の微量添加が耐食性を大きく改善すること、AlとLaおよび、AlとCeの同時添加がAl単独添加よりも耐食性をより高めることがわかった。これらのデータベースはLPSO型Mg合金設計に大きな方向性を提示することとなる。 2.粉末冶金プロセス技術と切削チップ固化成形技術の開発 切削チップ固化成形技術研究に関して世界最高水準の0.2%耐力573MPaの切削チップ固化成形用Mg-Ni-Y合金の開発に成功した。 以上より当初の計画以上に進展した成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.鋳造塑性加工プロセス技術の開発 既存常用マグネシウム合金は発火温度及び機械的特性の問題点によって宇宙航空産業材料で使用が禁止されている。 このような問題点を解決して、航空宇宙産業用材料としてLPSO型Mg合金を広く使用するために、これら合金の発火特性に関する研究を行う。 とくに、Mg-Zn-Y-RE系合金をモデル合金として、 第五元素、更に六元素添加が発火温度と機械的性質(室温、高温引張強度、クリープ)に及ぼす影響を調査する。また、本年度からは鋳造塑性加工プロセス開発を直接押出加工プロセスだけでなく、押出時のビレット温度上昇を抑えることを目的として間接押出加工プロセスにおいても行う。具体的にはMg-Zn-Y系合金をモデル合金として、鋳造材の長周期積層構造相の体積分率と間接押出加工条件の調査および微細化剤の添加により組織制御した鋳造材を用いて、鋳造材の組織と間接押出加工条件が間接押出加工後の組織と機械的性質に及ぼす影響の調査及び間接押出加工直後の押出材の結晶粒粗大化を抑制する冷却技術を開発し、押出材組織、耐食性と機械的性質に及ぼす影響の調査を行う。また直接押出及び直接押出加工プロセスで制作された押出加工材の組織、耐食性と機械的性質(室温、高温引張強度、クリープ)を比べて最適の押出加工プロセス技術の開発を行う。 2. 粉末冶金プロセス技術の開発 Mg-TM-Y系合金を対象として急速疑固粉末冶金技術及び切削チップ固化成形技術の高度化を図る。とくに、切削チップ固化成形法では、切削チップの形状とサイズ制御技術の高度化、切削チップ固化成形プロセスに適した合金成分を調査する。
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Research Products
(94 results)