2011 Fiscal Year Annual Research Report
水素中時効によるCu等非鉄系合金の新しい析出モードと高機能化
Project/Area Number |
23246123
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡田 益男 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (80133049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀川 厚則 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90292242)
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Keywords | 水素 / ナノ材料 / 電子・電気材料 |
Research Abstract |
水素処理という新技術が、二相分離・時効組織に 及ぼす効果や、機械的特性や電気的特性の向上の可能性について検討することを目的とする。Cu-Ti系合金における水素中時効処理がもたらす組織を明らかにするとともに、実験試料組成として、Tiの含有量を1~5.5mass%に変化させ、水素処理による最適なTi量を検討する。 (1) Cu-Ti系合金における水素処理のための最適なTi組成の検討を行った。Tiの含有量を1~5.5mass%に変化させ機械的強度と導電率も測定を行ったところ、3mass%Ti付近において、強度上昇と電気伝導率がもっとも高いことが分かった。 (2) Cu-Ti系合金の水素処理後の最適脱水素処理の検討した。水素化処理されたCu-Ti合金には、水素が2種類の化学状態で存在し、それぞれ約100~150℃および350℃で放出することが確認された。 (3) 前述の低温側の水素のみを脱水素することによって強度の低下をほとんど起こさずに、曲げに対する割れ強度を工場させることが出来ることが分かった。 (4)Cu-Ti系合金の水素化による新組織と高強度、高導電率との関連性の検討を行ったところ、スピノーダル分解温度領域内で、水素中時効処理することによって強度が顕著に上昇することが分かった。一方で、Ti水素化物が析出することによってCu母相中のTi濃度が低下し、高導電率化することが分かり、今後はCuなど水素と親和性の低い元素を主組成とした時効析出型合金において、Tiのように親和力の大きな元素を含有させることで強度と電気伝導率の同時向上が図られることが期待されると分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り、(1)Cu-Ti系合金における水素処理のための最適なTi組成の検討、 (2)水素処理後の最適脱水素処理の検討、 (3)組織と機械的特性・導電率の検討、および (4)新組織と高強度、高導電率との関連性の検討を行い、水素中時効処理が有効な材料設計について知見を得たほか、ほかの合金系への展開を初めており、計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請時の予測通り、Cuなどの時効析出型合金について、水素中時効熱処理が微細組織だけでなく、機械強度や電気同率などを大きく変化させることが分かり、水素との親和力の高い元素を析出物に含有できるような材料系について検討を行うことで更なる展開が期待できると考えられ、これに該当する実用材料としてCu-Cr-Zr合金があるため、次年度以降ではこの系について調査を行うこととしたい。
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Research Products
(1 results)