2013 Fiscal Year Annual Research Report
水素中時効によるCu等非鉄系合金の新しい析出モードと高機能化
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23246123
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡田 益男 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (80133049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀川 厚則 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90292242)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 水素 / ナノ材料 / 電子・電気材料 |
Research Abstract |
本研究では、TiやMg等の水素との親和力の強い元素を含有させたCu、Al系 等の二相分離や時効硬化を利用した非鉄系合金を対象として、水素処理という新技術が、二相分離・時効組織に 及ぼす効果や、機械的特性や電気的特性の向上の可能性について検討することを目的とする。これまでにCu-Ti系合金において微細な組織が得られ、電気伝導度と強度が同時向上することかを明らかにした。昨年は他の合金への適用として、Cu-Cr-Zr系合金に水素中時効熱処理を施し、その組織や特性の変化について調査を行ったが、大きな強度上昇はえられなかったが、予備実験でZrをTiに置き換えた組成において、水素を用いることで過時効を示唆する結果が得られたため、今年度はCu-Cr-Zr系合金にTiを加えた組成における水素中時効熱処理の効果を調査した。 冷間圧延法により作製したCu-0.2Cr-0.5Zr-0.5Ti組成の合金薄帯を用いて、水素中時効熱処理を施したところ、Cu母相の格子定数に大きな変化はなかったが、未処理試料で確認されたCu5Zr相が消失し、一方でZrH2が形成した。Ar中熱処理と比較したところ、大きな強度の変化はなかったが、電気伝導度が400~500℃で5時間の熱処理したものでは、Ar中では20~35%IACSであったが、水素中では60~80%IACSと大きく向上することがわかった。このことから、当該組成合金にTiを加えて水素中時効処理することによって、電気伝導度が大きく向上させることができることが分かった。この機構については今後検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、昨年度に予備的知見を得たCu-Cr-Zr系合金に水素中時効熱処理について、処理材として適切な材料設計の指針としてTiが有望であるなどの予測から検討を行い、Cu-Ti系合金以外にも水素中時効熱処理が有効でることを実証し、期待された電気伝導度の向上が得られるなど、工業材料として重要な知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
Cu-Cr-Zr合金は、工業的には80%IACS以上の高導電性と、600MPa以上の高強度を両立することで用いられている。合金組成にTiを添加することで水素中時効熱処理に効果があることが分かったことから、次年度は高強度化または高導電率化またはその両立を得られるような合金組成の提案を行えるよう、水素中時効処理条件や合金組成の詳細な検討を行うこととする。また、Ti添加Cu-Cr-Zr合金の水素中時効熱処理による高導電率化機構などについても、検討を行う。
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Research Products
(5 results)