2012 Fiscal Year Annual Research Report
高信頼性ものづくりのための材料プロセスの損傷モニタリング
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23246124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎 学 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70201960)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 溶射 / コーティング / アコースティック・エミッション / ものづくり |
Research Abstract |
極限的な環境下での構造物の信頼性を確保するために、材料の損傷・劣化を感度良く計測できるAE法を用いることが有効である。実用的な表面処理技術を用いたマテリアルプロセッシングに対して構造ヘルスモニタリングを行うためには、高感度のレーザーAEシステムの開発が是非とも必要となる。そこで、本研究では、新たに極限環境下にも適用可能なシステムの開発を目指し、このシステムを用いて表面処理技術の高信頼性化を目的とした。 (1) プラズマ溶射中のプロセスモニタリング - 大気中でのプラズマ溶射中でのAE計測を開発したレーザーAEシステムを用いて行った。雑音を除去することにより溶射中のAE事象を検出することが可能となった。アルミナ/ステンレス鋼の材料では、溶射中のみならず冷却中においてもAE事象が検出されたのに対して、ジルコニア/Ni基超合金の材料では、溶射中にのみAE事象が検出された。また、試料作製後の断面観察において観察されるき裂とAEの発生エネルギーには良い相関がみられた。さらに、溶射パスを制御することにより、セグメンテーションき裂のみ導入することができ、その際のAE挙動からき裂生成応力を評価することができた。 (2) 溶接中のプロセスモニタリング - 鋼材の溶接中のAE計測を行った。TIG溶接の異なる条件におけるAE計測からは、得られたRMS電圧と入力電流とには良い相関がみられた。試験片の温度計測結果と合わせると、マルテンサイト変態の開始点および終了点をAE挙動から評価でき、それらのこれまでに報告されている温度とよく対応していた。また、移動溶接の際のAE計測も行い、溶接の際の溶滴移行およびマルテンサイト変態の発生挙動をAEを用いて評価することができた。さらに、遅れ破壊の際のAEも計測でき、き裂の発生位置の情報を含んだ進展挙動を評価することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに開発したシステムを用いて、種々の材料のプロセスモニタリングを行った。それにより損傷発生時間を含む従来は得られなかった新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
プロセスモニタリングにおいてはより高速な雑音処理が望ましい。GPGPUを用いて現状のシステムを改良し、より高速に周波数領域での雑音処理が可能なシステムの検討をおこなう。また応用としては、これまで行ってきたプラズマ溶射やアーク溶接に加えて、ウォームスプレーやFSWといった最近開発は進んでいる加工プロセスへの適用を試みる。
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Research Products
(28 results)