2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23246127
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小溝 裕一 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (60379104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺崎 秀紀 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (20423080)
田中 学 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (20243272)
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Keywords | 溶接 / オキサイドメタラジー / 微細粒 / 凝固 / 固相変態 / フェライト |
Research Abstract |
本来不純物とされるナノサイズの酸化物を添加した際の溶接金属組織の微細化過程を、最先端のその場観察技術等を利用して明確化することにより、レアアース等の資源に頼らずに優れた性質をもった材料を開発する指導原理を提案し、高強度溶接構造物の製造技術研究に寄与するのが本研究の目的である。溶接熱サイクルに沿って、溶湯、凝固、固相変態をそれぞれ解析対象として、粒子凝集・分散挙動の可視化、溶融池シミュレーションモデルの開発、凝固組織中の粒子分散挙動解析、固相変態機構の解明等に取り組み、組織形成過程を系統的に研究・総括することで、ナノオキサイドメタラジー技術を確立する。 平成23年度は、まず透過型三次元可視化システムを用いて溶湯中のナノ粒子の分散挙動可視化を試みた。しかし、粒子が微細すぎて本装置では観察分解能が不足であることが判明した。そこで、溶接中に溶融スズを注ぎ、溶融池を凍結し、凍結された溶融池からFIBにより薄膜を作製し、ナノ粒子の凝集・分散状態を解析した。その結果に基づいて介在物の浮上による消滅、介在物同士の衝突による凝集機構を考察した。介在物の浮上速度、溶接プロセスによる乱流、ファンデルワールス引力は変化させることができない物性値であるが、界面の濡れ性は添加元素によって左右される値であり、介在物を微細に分散させるためにはこれらの影響を理解する必要があると考えられた。 さらに、新規導入したブルーレーザ顕微鏡を用いて、介在物を核とした微細粒アシキュラーフェライト生成挙動を観察する条件を確立した。今後、固相変態時の結晶学的解析を進め、生成メカニズムを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
透過型三次元可視化システムによる観察は出来なかったものの、凍結された溶融池からのナノ粒子の凝集・分散状態の解析、新規導入したブルーレーザ顕微鏡を用いた微細粒アシキュラーフェライト生成挙動の観察は計画通り進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は液相/固相間やδ/γ変態などのメカニズムやカイネティックスを検討する。導入した顕微鏡システムの加熱炉によりオーステナイト域まで逆変態させ、その後溶接中の冷却速度を再現して組織形成過程を直接観察する。逆変態時のオーステナイト粒粗大化抑制(ピン止め)効果と冷却時のフェライト粒の生成挙動の把握を行う。異相界面の解析をと組織形成のシミュレーション手法の構築を推進する。これらにより組織形成過程を総括的に理解し、ナノオキサイドメタラジー技術の確立を図る。
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Research Products
(5 results)