2011 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴振動触媒素子によるマイクロリアクター内の液相反応の活性化
Project/Area Number |
23246137
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
井上 泰宣 長岡技術科学大学, 工学部, 特任教授 (30016133)
|
Keywords | 触媒・化学プロセス / 表面・界面物性 / マイクロリアクター / 共鳴振動 / 液相触媒反応 / 固定化酵素触媒 / 酸触媒 |
Research Abstract |
本研究は、液相反応用の触媒活性化に対する革新的方法の開発を目的とし、高周波電力印加により強誘電体結晶に発生する共鳴振動の効果を用いる研究であり、本初年度は、異なる種類の共鳴振動素子の製作、共鳴振動特性の解析、反応用マイクロリアクターの設計製作、共鳴振動素子への酸,金属、あるいは酵素触媒の固定化法の検討を行い、作製できた共鳴振動触媒素子を用いて液相反応に対する予備的応用試験を行った。単分域構造を持つ強誘電体基板として、長方形状のLiNbO_3単結晶および円盤形状のPb(Zr,Ti)O_3焼結体(共に自発分極軸は表面に垂直で、厚み振動)を用いた。前者では、高周波スパッタリング法により、基板表面にCu金属電極を蒸着し共鳴振動素子とした。ネットワークアナライザー解析より、それぞれ3.6MHz、および2.2kHzの第一共鳴振動周波数を持つことを示した。形状の異なる共鳴振動触媒素子の組み込みに適するマイクロリアクターを設計製作した。共通要素として、マイクロリアクターの反応部の反応液相の厚さは200μmとし、高周波電力印加用の電極ピンを備え、反応液を保持するテフロンのシールドパッキングをもつ構造とした。反応システムでは、反応液をシリンジポンプで押し出し、2液反応では、それぞれをマイクロチップ混合器内で混合し、マイクロリアクターへ導入した。共鳴振動素子に対して、酸触媒としてスカンジウムテレフタレートSc(OTf)_3、金属触媒としてIn,および酵素触媒としてグルコースオキシダーゼ(GOD)のそれぞれの固定化法について検討した。この中で、Sc(OTf)_3酸触媒を固定化させた共鳴振動酸触媒素子を用いて、マイクロリアクター内で、アルドール縮合反応であるベンズアルデヒドとアセトフェノンからカルコンを生成する液相反応に対する効果を調べ、共鳴振動発生によりSc(OTf)_3酸触媒の活性が顕著に増加することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共鳴振動触媒素子の作製では、これまでに気相反応に対する触媒活性化で取得した知見がそのまま適用でき進展が容易であった。液相反応に対しては、強誘電体としてLiNbO_3単結晶とともに用いたPb(Zr,Ti)O_3焼結体では、強度と気密性がややおとるため扱いづらい点はあったが、この試料に対しても最終的にはマイクロリアクターの設計も問題なく行うことができ、異なる種類の触媒の固定化も行うことができ、研究は順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の基盤である共鳴振動触媒素子の作製と反応を行わせる場としてのマイクロリアクターの設計製作は本年度でほぼ完了したことから、共鳴振動効果を種々の液相反応に対し広く展開する。
|