2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒートアイランド現象の抑制を目指した冷房排熱の帯水層処分システムの実用化
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23246155
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 光 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80332526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 洋平 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (90356577)
村岡 洋文 弘前大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20358146)
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Keywords | 地中熱利用 / 地下水 / シミュレーション / サーマルレスポンス試験 |
Research Abstract |
1. 複数の帯水層を有す地盤での長期排熱試験 帯水層間の地下水クロスフローによる地中熱交換量の増進効果の実証を目的として,青森県弘前市に設置された非充填仕上げの熱交換井において,坑井内部の地下水のクロスフロー流速を測定するとともに,高熱負荷を課した計4回のTRTを実施した。その結果,クロスフローの熱移流効果により,180W/mを超す高負荷の排熱時おいても10日間での熱媒体温度の上昇が15℃以下と小さく抑えられ,さらに排熱終了後には温度回復が著しく速いことがわかった。これは,本形式の熱交換井を採用したGeoHPシステムにおいて地中熱交換井長さを大幅に削減でき,さらにエネルギー効率の経時的な低下が非常に小さいことを示しており,クロスフロー導入の有効性が明らかとなった。また,本効果は藤井ほか(2011)において試算された,揚水による熱交換量増進と比べて増進効果が顕著であり,また揚水ポンプ動力も不要であることから,揚水の導入と比較して有効な熱交換量増進法と考えられた。一方,クロスフローの流入する帯水層では3メートル以上離れた地点においても短時間で温度の上昇が見られるため,システム設計においては地盤温度の変化に関する検討は重要と考えられた。 2. 弘前平野における地下水フィールド調査と広域地下水流動系モデリング 観測井,民間の井戸,湧水および河川水を対象に,温度測定および水質分析のための採水を行った。温度測定はデジタルサーミスタ温度計(分解能0.01℃)を用いて,深度2m間隔で測定した。水質分析は現地にて水温,pH,電気伝導率を,産総研にて主要溶存成分濃度を測定した。今後は地下水調査結果および既存の地質情報に基づき,地下水・熱輸送モデリングソフトFEFLOWを用いて弘前平野および周辺山地の地下水流動系を再現する広域モデルを構築する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
弘前市におけるフィールド試験では,クロスフローの影響を受けた熱交換井の非常に高い熱交換応力が確認され,冷房排熱の地層処分の可能性について有用な知見を得ることができた。また,広域数値モデリングのための地下水フィールド調査は予定通り実施されている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 複数の帯水層を有す地盤での長期排熱試験 青森県黒石市に青森県産業技術センター内の複数の帯水層が存在する地盤において,深度80mの試験井を掘削し,ストレーナ仕上げとする。地下水の流向流速測定を外注により実施し,坑井内のクロスフローの状況を確認する。次に,同坑井において熱負荷およびU字管本数を変化させてTRTを実施し,熱媒体温度および坑井内温度データを収集する。2. 弘前平野における地下水フィールド調査と広域地下水流動系モデリング 平成24年度から継続して観測井,民間の井戸,湧水および河川水を対象に,温度測定および水質分析のための採水を実施する。温度測定はデジタルサーミスタ温度計を用いて,深度2m間隔で測定する。水質分析は現地にて水温,pH,電気伝導率を,産総研にて主要溶存成分濃度を測定した。次に地下水調査結果および既存の地質情報に基づき,地下水・熱輸送モデリングソフトFEFLOWを用いて弘前平野および周辺山地の地下水流動系を再現する広域モデルを構築し,観測井における地下水位・水温の測定値および地下水流向流速測定の結果を用いてモデルを検証する予定である。
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Research Products
(10 results)