2011 Fiscal Year Annual Research Report
希少金属の高度リサイクルに向けた金属臭素化物の物理化学
Project/Area Number |
23246158
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 崇 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20112360)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 悦郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70312650)
飯塚 淳 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (70451862)
|
Keywords | 金属臭素化物 / 臭素系難燃剤 / 蒸気圧 / クヌッセンセル |
Research Abstract |
平成23年度は、まず、金属臭素化物の蒸気圧測定のための、高真空示差熱天秤-質量分析装置の作製を行った。蒸気圧測定では、クヌッセンセルから揮発する蒸気の質量を質量分析計で測定し、蒸気種の同定を行うことができる。装置構成は、熱天秤内部に質量分析計に導入するための吸引口を設置し、その先はシャッターを通して差動排気装置で高真空に保たれた質量分析計に接続した。白金もしくはBN製のクヌッセンセルを熱天秤に設置し、一定温度に加熱することで内部の臭素化合物の蒸気がセルより蒸発する速度を測定することで蒸気圧が算出される。同時にクヌッセンセルからの蒸気種は一定時間毎に質量分析計に送られ質量をイオン強度として測定される。このように蒸発種の質量を直接モニターすることで揮発挙動を把握しながら信頼できる蒸気圧データが得られる。 金属酸化物と臭素系難燃剤入りプラスチックとの反応実験では、臭素系難燃剤であるTBBPA含有プラスチックと金属酸化物を重量比で種々の割合で混合し、約2g(ペレット4個)の試料をアルミナ製ボートに乗せ、小型炉に設置してある石英製の反応管の中央に設置した。石英製反応管のガス出口側にダスト捕集用の石英ウールを詰めて外部からリボンヒーターで100℃に保温した。まず試料をアルゴン気流中(80ml/min)で140℃に加熱して1時間保持し、その後、10℃/minの昇温速度で目的温度まで加熱し、一定時間保持し、臭素化反応を起こさせた。一定時間保持後はすぐに外部から空気を吹き付けて反応管を急冷し、反応管内部はArガスを流通させて冷却中の二次的な反応を抑制した。実験後の熱分解残渣、反応管壁での凝集物、フィルターでの捕捉物ならびに捕集されたガス状成分の分析を行った。平成23年度は、銅ならびに金、銀等貴金属について実験を行い、各金属の臭素系難燃剤との共存状態における臭素化反応機構ならびに揮発挙動に関して明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属臭素化物の蒸気圧測定に使用する高真空示差熱天秤-質量分析装置の作製が終了し、銅ならびに金、銀等貴金属の臭素系難燃剤の熱分解による臭素化反応機構の解明を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
各種金属臭素化物の蒸気圧をクヌッセンセル法により測定する。同時に、発生した蒸気種を質量分析計で測定するが、300℃以下で凝集する蒸気圧の分析は現状の装置では難しい。その際は、別途、質量分析計のイオン源で直接、対象試料を加熱する方法で、蒸気種の同定を行う。また、臭素系難燃剤の熱分解による金属化合物の臭素化反応機構の解明に関しては、実際に小型家電や電子機器に使用されるプラスチック(臭素系難燃剤含有のプラスチック)の熱分解と臭化水素ガスの発生機構を調査し、さらに、混在する金属化合物の臭素化反応機構と揮発挙動の解明を行う。
|