2012 Fiscal Year Annual Research Report
希少金属の高度リサイクルに向けた金属臭素化物の物理化学
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23246158
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 崇 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20112360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 悦郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70312650)
飯塚 淳 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (70451862)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 金属臭素化物 / 臭素系難燃剤 / 蒸気圧 / クヌッセンセル |
Research Abstract |
①クヌッセンセルによる金属臭素化物の蒸気圧測定 昨年度は真空熱天秤に質量分析計が付属した装置の組上げと動作確認を行った。平成24年度は、まずは蒸気圧が既知の参照物質を用いて、上記装置で蒸気圧測定を行った。参照物質は、NaClならびにKClとした。クヌッセンセルはNi製またはPt製とし、内径約5mm、高さ約5mm、オリフィス径約0.2mmのもの作製して使用した。NaClならびにKClの900℃以下の各温度での、高真空下(<10-3 Pa)での重量変化を測定して、蒸気圧を算出した。信頼の置ける文献値と比較することにより、温度分布、セル形状等に起因する、補正係数を求めた。NaClならびにKClでの測定は、目的の金属臭素化物の蒸気圧測定の直前に常に行い、補正係数は測定ごとに更新することとした。補正係数を決定後、同様の方法でCuBrの蒸気圧測定を行い、蒸気圧を算出した。今後、質量分析計を用いて、揮発成分の質量分析を行い、CuBrの揮発時の解離反応の検討を行い、真の蒸気圧の導出を試みる予定である。 ②金属酸化物含有試料と臭素系難燃プラスチックとの反応解析 平成24年度は、亜鉛を含有した電炉ダストを用いて実験を行い、臭素系難燃プラスチックの熱分解処理による金属製錬ダストの再資源化プロセスの可能性検討とその反応解析を行った。実験では、ポリスチレンやポリプロピレン等の臭素系難燃剤含有のプラスチックと亜鉛含有の電炉ダスト試料を所定量比で混合してペレット上に圧粉成形した試料を用いた。約2gの試料をアルミナ製ボートに乗せ、小型炉に設置してある石英製の反応管の中央に設置し、石英製反応管のガス出口側にダスト捕集用の石英ウールを詰めた。試料をアルゴン気流中で所定条件で加熱処理し、凝集した揮発物ならびに残渣を分析することにより、電炉ダスト中の亜鉛の臭素化揮発反応を定量的に評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属臭素化物の蒸気圧測定の目処が立ち、今後は順調に測定を続けていくことができると考えている。金属化合物の臭素化反応の実験に関しては、順調にデータを得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、各種金属臭素化物の蒸気圧を測定する。蒸気圧測定では、白金製のクヌッセンセルから揮発する蒸気の重量変化から蒸気圧を導出する。さらに、蒸気種の質量数を質量分析計で測定し、蒸発時の解離反応などを調べ、真の蒸気圧の導出を試み、揮発反応のGibbsエネルギー変化の導出を目指す。 臭素系難燃剤による金属化合物の臭素化反応に関しては、実際のガラスエポキシ基板(FR-4)を用いて、熱処理時の臭素系難燃剤含有樹脂の熱分解挙動ならびに、発生した臭化水素ガスと基板中の銅線ならびにはんだ金属等との反応挙動等を調査し、臭素系難燃剤含有の電子機器の資源化プロセスの基礎的知見とする。
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Research Products
(2 results)