2012 Fiscal Year Annual Research Report
固体増殖材料の長期特性変化のマルチスケール/マルチフィジックスモデリング
Project/Area Number |
23246161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 知 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10114547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 謙太郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (30370373)
谷川 尚 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (70370426)
大矢 恭久 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80334291)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2014-03-31
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Keywords | 核融合 / ブランケット / 固体増殖材料 / 照射損傷 / 熱機械特性 / X線CT / ラマン分光 / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は,ペブル充填式の固体増殖ブランケットを対象に,核融合炉環境下に置かれた際に想定される長期的な特性変化を明らかにし,ブランケット設計を行う上で必要な学術基盤を拡充することである.特に,固体増殖材料ペブルの(1)長期の物理的・化学的特性変化と,(2)長期の照射損傷過程に注目し,実験と計算機シミュレーションを組み合わせてその理解とモデル化を試みる.(1)(2)のいずれにおいても,有力な固体増殖材料であるLi2TiO3を中心に研究を展開している. (1)では,ぺブルの粒径分布が充填特性や充填後の機械的特性に与える影響についての評価を進めた.粒径分布の広がりが一定以下の条件では,振動により最密充填に近い構造が出現することを確認した.ぺブルの割れが充填体の機械的・熱的特性に与える影響と,初期充填構造との相関について,モデル化を進めている.また,ぺブルの模擬材として焼結ペレットを用いて,水素同位体の保持特性とぺブルの微細構造との相関の評価した.水素同位体の滞留量と放出特性が,ぺブルの比表面積と表面欠陥の量に主に依存することを実験により確認した.加えて,表面の化学的安定性と表面構造との相関を,分子シミュレーションを用いて整理した. (2)では,紫外・可視吸光等を利用して,γ線等の放射線・高エネルギー粒子が誘起する欠陥生成過程について評価を進めた.照射量の増加に伴い,酸素空孔型欠陥等に由来すると考えられる吸収ピークの生成を確認した.また,照射欠陥の熱的安定性を評価するために,熱フォトルミネッセンス装置を,高速中性子照射施設に整備した.シミュレーションにおいては,置換型欠陥(Li置換型Ti,Ti置換型Li)が照射損傷として生成されることが分子動力学法により示唆された.量子力学計算による欠陥安定性評価においても高い安定性が得られ,置換型欠陥が主要な照射欠陥の一つであることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題(1)についてはおおむね計画通りに進行している(②).課題(2)については当初考えていなかった置換型欠陥の重要性がこれまでの研究で示唆された.そのため,研究内容の見直しを行い,研究対象に加えることにした.それ以外はおおむね順調に進行している(②).
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Strategy for Future Research Activity |
分担者との協力・連携を密に行い,計画通りに研究を進め,本研究課題の成果をまとめる予定である.課題(2)の置換型欠陥に関する研究内容の変更について,いくつかの予備的な実験や計算を進め,研究の目途がたっている.
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