2012 Fiscal Year Annual Research Report
指向性をもつビーム放射分光法によるメゾスケール乱流の二次元空間構造の研究
Project/Area Number |
23246164
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
居田 克巳 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (00184599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉沼 幹朗 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (20323058)
大石 鉄太郎 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (80442523)
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Project Period (FY) |
2011-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | プラズマ物理 / 乱流計測 / ビーム分光 |
Research Abstract |
ビーム放射分光とはプラズマ中に入射された中性粒子ビームがプラズマ中のイオンと衝突して電子が励起され、その電子が下位順位に落ちるときに発する光(H アルファ光)の時間変化から、プラズマイオン密度の揺動を計測しようとするものである。この光はビーム速度に対応したドップラーシフトを持つので、ドップラーシフトがほとんどないバックグランドのH アルファ光から、分光的手法で分離が可能である。 ビーム放射分光は、中性粒子ビームと視線との交点における局所のイオン密度揺動が計測できるという利点があるが、計測の空間分解能程度の波長(端数)より、大きなスケールの揺動しか計れない。ブラッグ反射を利用した揺動計測が小さいスケールの揺動、すなわちミクロスケール乱流を計測するのに向いているのに対し、ビーム放射分光はむしろ揺動のスケール長が大きいメゾスケール乱流の計測に向いている。ビーム放射分光システムは発光させる為の中性粒子ビーム、プラズマのポロイダル断面の像を取り込む為の二次元光ファイバー、揺動信号を取り込む為の検出器からなる。従来のビーム放射分光システムでは観測領域が円形なので、その径方向の波に体する感度とポロイダル方向の波に体する感度が同じになってしまう。 本研究では観測領域をスリット状にして、(横スリット状の場合:径方向の波に対する感度が減少、ポロイダル方向の波に対する感度が向上、縦スリット状の場合:ポロイダル方向の波に対する感度が減少、径方向の波に対する感度が向上する)計測を行う予定である。八木アンテナで電場受信の指向性と感度が向上するのと同様に、多段のスリット状に観測点を配置する事で、径方向又はポロイダル方向の「指向性」をあげた乱流計測をすることができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ビーム放射分光システムの中心となるファイバーを購入した。空間分解能は約1 cm でプラズマの径方向1 m、ポロイダル方向で15 cm 程度のプラズマのイメージが得られた。 本研究では観測領域をスリット状にすることで、指向性を持つ計測ができた。すなわち、横スリット状の場合:径方向の波に対する感度が減少、ポロイダル方向の波に対する感度が向上、縦スリット状の場合:ポロイダル方向の波に対する感度が減少、径方向の波に対する感度を向上させることができた。今年度は初期的な計測結果が得られた。今後、スペクトル解析・相関解析を行う事で乱流の性質を研究する準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
ビーム放射分光システムは波長の短い乱流揺動の計測に用いられることが多いが、ヘリカルプラズマではそのヘ リカル形状故に視線方向の積分効果が大きく短波長の乱流揺動が観測できない。そこで、周波数を下げて長波長 の乱流揺動に焦点をしぼって計測を行う。長波長の乱流揺動は低周波故にそれ自身の直接の輸送への寄与は小さ いが、プラズマの輸送に寄与している短波長の乱流揺動のコア部と周辺部との結合を強めるものとして注目され ている。 ペレット入射等でプラズマの周辺部を冷却した時にプラズマ中心部の電子温度が上昇する現象は非局所輸送現象として知られているが、そのメカニズムとして、長波長の乱流揺動が減少してプラズマのコア部と周辺部の輸送の結合が弱くなり、中心部の短波長の乱流揺動が減少するという仮説が考えられている。これを実験的に調べるために、主として非局所輸送現象が観測されるプラズマを対象に計測を行う予定である。
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Research Products
(10 results)