2012 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界流体プラズマ反応を用いた水素カーボンナノチューブのコプロダクションシステム
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23246175
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本間 格 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90181560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇根本 篤 東北大学, WPI-AIMR, 講師 (10551525)
笘居 高明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80583351)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エネルギー効率化 / 資源開発工学 / 天然ガス / 水素 / グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では気体・液体・固体とも異なる第4の物質状態である超臨界流体中でのプラズマなどの電気化学反応を利用して、クリーン燃料である水素と次世代蓄電デバイスの電極材料であるカーボンナノチューブ(CNT)を始めとするナノカーボンの高収率の同時生成(コプロダクション)が可能な独創的なエネルギー技術の研究を行うことを目的としている。 本年度の研究においては、昨年度実装した超臨界流体電気化学セルを用い、プラズマ発生条件よりも低い印可電圧での電気化学反応による亜臨界流体電解法によるナノカーボン合成、特にグラフェン合成に取り組んだ。 酢酸水溶液を高圧アルゴンで加圧し、300℃まで昇温することで、溶液を亜臨界状態とした。堆積基板となる作用極と対極には白金板を用い、電極間に3.5Vを印可することで、酢酸の還元による炭素の析出を行った。その結果、常温常圧状態ではアモルファスカーボンの析出が見られるのみであったが、亜臨界状態においては、炭素の析出反応の促進が見られるとともに、一部に高結晶性の単層グラフェンの析出が観察された。 亜臨界水は強い酸化効果を持つため、アモルファスカーボンの除去に有効であることが知られている。この亜臨界水自体の酸化効果と高温による反応促進により、結果として300℃の低温雰囲気において高結晶性単層グラフェンの合成が可能となったのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していた超臨界流体プラズマ反応と比較し、エネルギー効率に優れる亜臨界流体電解法を適用し得ることが新たな知見として、一連の研究を通じ示唆された。そのため、本手法におけるナノカーボン生成条件の最適化を検討する必要が生じたため、研究計画に一部遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
より低電圧・低温で、エネルギー効率の良い、亜臨界流体電解法がカーボンナノマテリアルと水素のコプロダクションに利用できる可能性が見出されたことから、この新手法によるカーボンナノマテリアルであるグラフェンと水素のコプロダクションシステムの最適条件を検討する。 具体的には、グラフェンと水素生成に対する、電極基板の材料組成と結晶方位、印加電圧、温度・圧力依存性を明らかとし、それぞれの最適生成条件を踏まえ、エネルギー効率の観点からコプロダクションシステムの全体最適化を図る。
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