2012 Fiscal Year Annual Research Report
Hippoシグナル経路による細胞間コミュニケーションの分子基盤
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23247036
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐々木 洋 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (10211939)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Hippoシグナル / 細胞競合 |
Research Abstract |
多細胞体の発生においては、個々の細胞の挙動が、細胞間の接触・接着によるコミュニケーションで制御されることが重要である。本研究では、培養細胞とマウス胚とを組み合わせて用いることにより、Hippo経路による細胞間のコミュニケーションの分子基盤を明らかにすることを目的とし、以下の3つの研究を進めた。 (1)細胞間の接触・接着等の情報がHippoシグナル経路を制御する仕組み。培養細胞を用いた生化学的な解析と着床前胚を用いたin vivoドメイン解析とを組み合わせることにより、Amotは接着結合の構成因子であり、そのN末とCoiled-coilドメインがHippo経路の活性化に必要であること、さらに、接着結合でN末がリン酸化され、N末の生化学的性質が変化することによりHippo経路を活性化することを見出した。 (2)Hippoシグナル経路が隣接した細胞の挙動を制御する仕組み。Tead活性の異なる細胞が接触すると、その挙動は、同じ活性の細胞と接触する場合とまったく異なる挙動をし、細胞競合様のコミュニケーションをすることを見出した。さらにTeadの下流では、アクチン重合制御因子と、がん遺伝子Mycとが協調的に作用し、細胞競合を起こしていることを見出した。 (3) Hippo経路による細胞間コミュニケーション胚発生に果たす役割。Tead活性を操作した細胞をモザイク状に持つマウス胚において、2種類の細胞競合に関連していると考えられる、細胞間コミュニケーションが起こっていることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、予定通り、細胞間接着によるHippo経路の活性化におけるAmot作用機構、Tead活性の異なる細胞間でみられる細胞間コミュニケーションの仕組み、着床後胚における細胞間コミュニケーションについて研究を行い、先の2つについて、その成果を国内外の学会で招待講演発表した。また、Amotの作用機構については、現在論文投稿中であり、細胞間コミュニケーションの仕組みについては、投稿準備を進めている。胚における細胞間コミュニケーションについては、予想外の興味深い知見も得られており、今後、研究の飛躍的発展が期待できる状況である。研究は着実に進展し、成果を論文にまとめつつ、新たな展開が期待できる状況にあり、総じて、②おおむね順調から①当初の計画以上の進展といってよい進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究は順調に進展しており、特に、問題となる事項はない。来年度も、このペースを維持して研究を推進できるように心がける。Amotは多様な制御を受けていることがわかってきたので、Amotに注目したHippo経路活性化機構の解析をさらに進めるとともに、培養細胞での細胞間コミュニケーションの解析に力を入れる。また、これまで準備を進めてきた、細胞間コミュニケーションが胚発生に果たす役割についても、新規知見に基づいて、その解析を精力的に行う。
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