2012 Fiscal Year Annual Research Report
形質QTLと発現QTLデータの融合による穂形成の遺伝子ネットワーク構築
Project/Area Number |
23248002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 信 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (00270992)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 育種学 / 遺伝学 / 遺伝子 / 植物 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イネ穂構造の分子機構総括的に理解することである。イネの穂構造についてはこれまでに様々な研究が行われており、最近は、QTL解析により穂構造関連遺伝子が単離されている。本研究では、穂構造に関する形質QTLと、マイクロアレイによる穂形成時のイネ全遺伝子の発現QTLを行い、形質と発現QTLを統合することで、穂構造に関与する遺伝子群を網羅的に抽出し、穂形成の遺伝子ネットワークを構築することを試みる。これまでにコシヒカリとハバタキから作出したBILs系統の発現QTL解析データと穂形質のQTL解析データをもとに、穂形質の形質QTL領域内に座乗するシスeQTL遺伝子を形質QTL遺伝子の原因候補遺伝子として推定した。この内、第7染色体上の一次枝梗を伸ばすハバタキ型QTLであるqPB7と、その領域内に位置するシスeQTL遺伝子MADS18との関係について、遺伝学的・分子生物学的に検討を行った。まずMADS18周辺で様々な組換え集団の穂形質評価を行ったところ、MADS18遺伝子座がハバタキ型になると一次枝梗が長くなった。さらにコシヒカリ由来MADS18遺伝子を、ハバタキゲノム部分置換系統に導入すると、一次枝梗がコシヒカリ程度に短くなった。以上結果から、MADS18が原因遺伝子であることが示されると同時に、QTLマッピングとマイクロアレイ解析を併用することでQTLの候補遺伝子を効率よく絞り込むことが可能であり、発現QTL解析デが短時間でQTL領域の遺伝子を絞り込む有効な手段であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題の最大の課題である、形質QTLと発現QTLの融合により、実際効率的にQTL遺伝子が単離出来るか否かについて、穂形成に関わるQTL遺伝子を事例として試み実際に本手法が実際に有効であることを示した。また他の新規QTL遺伝子群についても、上記と同じ手法により遺伝子同定と機能解析を進めている状況であり、より効率的なQTL研究が可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的の一つである形質と発現QTLの統合解析のQTL研究における有効性を示されたため、MADS18を含む新たに単離された穂形質QTL遺伝子の研究データを論文として発表する。またで穂メリステムでの発現QTLデータから、穂のQTL遺伝子の下流で働く因子を明らかにすることで、穂形成の遺伝子ネットワークを構築することを試みることに邁進する。
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