2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23248042
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
真木 太一 筑波大学, 生命環境系, 客員教授 (80314970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守田 治 福岡大学, 環境未来オフィス, 教授 (70112290)
脇水 健次 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00240903)
西山 浩司 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (20264070)
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Keywords | 人工降雨 / 液体炭酸法 / 渇水 / 気象改良 / 水資源 / 航空機散布 / 積雲 / 人工降水雲 |
Research Abstract |
最適人工降雨法の開発として、人工降雨効果の科学的評価、広範な人工降雨域の形成技術の開発、多量の水量確保の確立を図るために液体炭酸法を具体的に実験によって確認する。長崎県壱岐島・玄界灘上空および東京都三宅島・御蔵島上空で液体炭酸を航空機より散布して人工降雪・雨を実施し、その効果を評価する。(1)北部九州で2012年1月27日(移動性高気圧後面)と2月2日(冬型気圧配置)に約1km厚の積雲(層積雲系)の下層部に航空機により液体炭酸を散布した結果、液体雲水の雲から氷晶を含む雲への変化が確認できた。液体炭酸の散布で人工氷晶が形成されたが、降水の証拠となるレーダーエコーは確認できなかった.その理由は、形成された人工氷晶が雲内に十分に広がらず、氷晶が低い高度では降雪粒子となってレーダーに捉えられないためと考えられる。発達中の雲に液体炭酸を散布し雲の対流を利用して氷晶を拡散させてレーダーエコーのシグナルを捉える必要性があることがわかった。(2)三宅島・御蔵島付近で2月26日に東海・関東地方の南海上に層状雲と帯状対流雲が混在したが、実験空域付近では雲の厚さは1km以下で降水を伴う対流雲は存在しなかった。三宅島の西空域で液体炭酸を高度1800mの雲底付近で3回散布40分後、上空の対流雲が発達し雲頂高度は約3000mに達したが、人工対流雲はレーダーには映らなかった。これは降水粒子の高度が気象レーダーの探知高度よりも低いためと考えられる。2月27日にも実験空域にはレーダーに映る発達した対流雲は存在しなかった。三宅島の西空域で液体炭酸を高度約1800mの雲低付近で4回散布後、上空の対流雲が発達し雲頂高度は約4000mに発達した。人工帯状対流雲は御蔵島方面へ流れ御蔵島に降水を確認したが、この人工降水雲もレーダーには映らなかった。しかし、風下側約70Kmの八丈島観測所では人工降水雲による降雨が記録されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工降雨実験は寒候期の11月以降に実験を実施することが効果的でるため実験準備をしてきたが、液体炭酸を散布するには航空機の改造が必要となり、急遽12月~1月に実施することになった。このため実験が遅れたことで、その詳しい解析は幾分遅れているが、全体としては概ね順調に推進されている。なお、人工降雨の書籍を出版することができたことは非常に有益であった。
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Strategy for Future Research Activity |
人工降雨実験は航空機改造の必要性の発生のため幾分遅れ気味であったが、年度内に、壱岐島付近の玄界灘上空で5回、三宅島・御蔵島上空で2回実施した。これらの解析を推進しつつあるが、さらに一層細かい解析を含めて推進する。また、来年度の寒候期に向けて、実験が行えるよう、種々の対応を進めている。特に、今年度の実験結果について、詳しい解析の成果を出す予定である。
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Research Products
(24 results)